関電トップ辞任 原発マネーの「闇」解明を

西日本新聞 オピニオン面

 公益性の高い電力事業への信頼は揺らいだままだ。経営トップの辞任は当然であり、これで十分とはとても言えない。「原発マネー」還流の実態と全容の解明が強く求められる。

 関西電力の幹部らが多額の金品を受け取っていた問題の責任を取り、八木誠会長らが9日付で辞任した。検事総長OBを長とする第三者委員会の報告書を待って岩根茂樹社長も退く。

 金品を受け取った当事者がトップに居座っていては、信頼回復も何もない。政府や大株主・大阪市を含む世論の厳しい批判に抗しきれずの辞任である。関電としてはやっと一歩前に進んだということだろう。

 一連の金品の贈り主は、高浜原発がある福井県高浜町の元助役(故人)である。関電の幹部20人が昇進祝いといった名目で現金や金貨、高額なスーツ仕立券など約3億2千万円相当を受け取っていた。社会的儀礼の範囲を超えるのは明らかで「個人的に預かっていた」などという言い訳は通用しない。

 新たに分かったこともある。関電は、面会に訪れた元助役に発注予定の工事概算額を伝えたり、入札抜きで元助役と関係の深い建設会社と多数の工事契約を結んだりしていた。

 金品は、こうした特別扱いと密接に関係しているのではないか。また元助役との不透明な関係はいつ、どのように始まったのか。原発の地元有力者に特別な便宜を図ったケースは他にないのか‐。第三者委で真相を明らかにし、改善策を講じることが信頼回復の前提である。

 一方、国策として原発を進めてきた国にも、問題の全容を明らかにする責任がある。原発マネーの不当な還流はないか、全ての電力会社にきちんと調べて報告するよう求めるべきだ。

 今回の問題から透けて見えるのは、原発の地元と電力会社のいびつな関係だ。関電に限らず電力会社は地元自治体と良好な関係を構築するのに腐心している。原発の建設や運転に欠かせないからだ。他方、原発は地元に税収増や各種交付金をもたらし雇用を生む。電力会社と地元自治体は利益共同体でもある。

 そのこと自体が問題なわけではないが、福島原発事故で原発の安全神話が崩れた今、国民の原子力事業への不信は根強い。電力会社と地元の不透明な関係は見逃すことはできない。

 九州電力が「やらせメール」問題で設けた第三者委の提言を思い出す。「原発立地自治体の首長との不透明な関係の根絶」を掲げ、首長親族の経営企業への業務発注による利益供与などをやめるよう求めた。地元対策だけでなく、透明性を高める努力こそ電力会社には必要だ。

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