【ラガーマン記者が読み解くW杯】ゼロからラグビー(10)いざスコットランド戦 日本代表「鬼」になれ

西日本新聞 入江 剛史

アイルランドの選手にタックルで突き刺さる中村亮土選手。スコットランド戦でもハードタックルに期待がかかる(撮影・中村太一) 拡大

アイルランドの選手にタックルで突き刺さる中村亮土選手。スコットランド戦でもハードタックルに期待がかかる(撮影・中村太一)

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会1次リーグの最終戦で、日本代表は13日、スコットランド代表と戦う。4年前の前回W杯で決勝トーナメント進出を阻んだ宿敵を倒せるのか。リーチ・マイケル主将は「勝つために鬼になる」と語った。その鬼とは-。

 リーチ主将は11日の記者会見で、こう言った。「ティア1に勝つためには優しい気持ちは必要ない。鬼にならないといけない」

 ラグビー強豪国・ニュージーランドから札幌山の手高に留学し、東海大、東芝と進んだ。日本ラグビーを牽引(けんいん)してきた主将。日本人の優しさという強さと弱さの両面を知るに違いない。

 「ティア1」と呼ばれる欧州・南半球の強豪の一角に数えられるスコットランド。そのラグビーは高精度のキックや長いパスを駆使し、ボールを大きく動かすのが特徴だ。台風の影響で戦い方を変えるかもしれないが、主軸3人を封じ込めることが日本勝利のカギになることには変わりない。

 1人目は、フィン・ラッセル選手。正確なキックも、長いパスも、相手の間を抜くランも、まさに一級品。天賦の才に勝つには「鬼」になるしかない。

 多くのチームは密集から相手に近い位置にフォワード(FW)2、3人を置き、その背後にスタンドオフがいる。密集からFWがパスを受けて突進したり、スタンドオフが外に展開したりする。スコットランドはFWがいったんパスを受け、後方のラッセル選手にバックパスすることが多い。

 スコットランド戦でのアイルランドの防御が参考になる。バックパスの瞬間に防御の選手が一気に間合いを詰め、ラッセル選手か、そのパスを受ける選手にタックル。ラッセル選手の長いパスを受けた選手も狙った。日本としても機を見て間合いを詰め、相手を壊すようなタックルで刺さりたい。センター(12番)の中村亮土選手のハードタックルに期待がかかる。

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 激しく、かつ冷静な「鬼」となって封じ込めなければならない次の1人は、スクラムハーフ(9番)のグレイグ・レイドロー選手。密集の背後からボールを高く蹴り上げるハイパントが得意。ボールを追う選手が走って跳び上がると、ちょうど捕れる位置に正確に落とす。

 このハイボールへの対応が重要だ。日本はW杯前の南アフリカ戦で徹底的にハイボールで攻められ、完敗を喫した。台風通過後の強風が残れば、よりキャッチが難しくなる。ただ、レイドロー選手は密集周辺で、やや時間をかけて蹴ることが多い。日本はレイドロー選手が蹴る瞬間に飛びかかってキックの精度を落とし、FWの選手も落下地点まで下がって人数をかけて対応するのではないか。

 世界屈指のプレースキッカーでもあるレイドロー選手。日本が反則を犯せば、ペナルティーゴールの3点を積み重ねられ、じわじわとリードを広げられかねない。反則を減らすことも勝利への条件だ。

 最後の1人は、スチュアート・ホッグ選手。パワフルな走りで、キックされたボールを捕ってランで攻める「カウンター攻撃」が脅威だ。そこにラッセル選手や快足の両ウイングも絡むと、危険度が増す。

 日本としては、たとえ自陣からでも安易に蹴り込み、相手にボールを渡すのは避けたい。向かい風が強ければ、できるだけランで攻めるだろう。

 追い風ならばロングキックでタッチラインの外に出す策が有効になる。タッチの外に出れば、スコットランドがボールを投入するラインアウトになる。相手はモールで押し込んでくることが想定されるが、日本は止められるだろう。

 スコットランドのモールは相手の圧力で止まると、体が横向きになって前に押せていない選手も出てくる。一つの塊として方向を変えて押すのでなく、途中で塊がちぎれる。その狙いは相手FWをモールに集めて周辺を攻めることにあるようで、レイドロー選手がFWやウイングを絡ませて攻める。日本は、周辺の攻撃を意識してモール防御に入る人数をコントロールしないといけない。

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