地震被災の絵画復活 故田中憲一さん作品、熊本出身の修復家協力

西日本新聞 熊本版 綾部 庸介

絵を修復する岩井希久子さん(左)と貴愛さん 拡大

絵を修復する岩井希久子さん(左)と貴愛さん

 2016年4月の熊本地震でアトリエが全壊し作品が破損した御船町の洋画家田中憲一さん(1926~94)の修復絵画を集めた展覧会が12日、同町恐竜博物館で始まった。ゴッホやモネなどの作品も修復した熊本市出身の絵画保存修復家岩井希久子さん(64)と長女の貴愛さん(32)が手掛けた6点を展示し、会場で修復作業も公開する。企画した住民有志は「優れた技術でよみがえった郷土の宝を見てほしい」と呼び掛けている。入場無料。

 御船町出身の田中さんは県内の高校で美術教師を務めながら廃船や動物を油絵に描いた。工芸クラブを設立するなど同町の文化振興にも尽力した。

 地震後に田中さんのアトリエ兼自宅が全壊し多くの作品が雨ざらしになっていることを知った住民有志が地震の翌月、作品約150点を運び出した。「熊本地震 田中憲一の画を救う会」を立ち上げ、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を通じて約60万円を集め、絵画の保存に詳しい筑波大へ作品を送った。

 作品はかびが生えたり倒壊した建物に押しつぶされたり、状態が悪かった。住民から相談を受けた岩井さんが協力を快諾し、千葉県のアトリエなどで無償で修復を続けている。これまでに18点がほぼ完成した。

 展覧会は「絵のお医者さんがやって来た-岩井希久子・熊本地震被災作品・公開修復展」と題し12~14日と26日~11月4日に開催。岩井さん親子が、キャンバスの約3分の1が欠けるなど被害が最も大きかった田中さんの代表作「海の骸B」を期間中に修復する。今月14日午後2時からは、岩井さんと救う会会員が活動について語る。

 救う会事務局の井上正敏さんは「もうすぐ地震から3年半。直された絵画を見て、元気と復興を感じてもらえれば」と話している。(綾部庸介)

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