新幹線、見えぬ行方議会で議論 フル規格問題 県“結論ありき”に反対

西日本新聞 佐賀版 北島 剛

県議会一般質問で新幹線問題について答弁する山口祥義知事 拡大

県議会一般質問で新幹線問題について答弁する山口祥義知事

 九州新幹線西九州(長崎)ルートの新鳥栖-武雄温泉の整備を巡り、佐賀県は与党検討委員会が方針を決めたフル規格に反対している。検討委が求める長崎県やJR九州、国土交通省との4者協議についても、山口祥義知事は「フル規格を前提とした議論には応じられない」と否定的で、実現のめどは立っていない。県議会9月定例会の一般質問の論戦から、佐賀県の現時点の考えを整理してみた。

 ■地元負担660億円

 一般質問では15人中7人が新幹線関連で質問した。山口知事は、(1)線路幅が在来線と同じスーパー特急方式(2)新幹線と在来線を直通運転するフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)(3)武雄温泉駅で新幹線と在来線を乗り換えるリレー方式-の三つは「合意しており異論はない」と答弁。一方でフル規格と、在来線の線路幅を広げるミニ新幹線は「これまで手を上げたことも検討したこともない」と主張する。

 国交省の試算では、新鳥栖-武雄温泉をフル規格で整備した場合の建設費は約6200億円となり、佐賀県に約660億円の実質負担が生じる見込み。これにも山口知事は「とてもその通りになるとは思えない数字。間違いなく増加するはずだ」と指摘。負担額が長崎県の1・5倍以上で、財政規模は長崎県の方が1・5倍以上大きいことから「2・5倍以上の財政負担がある」として、「われわれの方に2・5倍のメリットはあるのか」と手厳しい。

 ■4者協議応じず

 「県民のために一番良い方策となる材料を国交省や長崎県、JR九州が提示することを求めるべきでは」

 県議会最大会派の自民党の県議からは、4者協議のテーブルに着いて佐賀県の考えを堂々と述べるよう求める一般質問が相次いだ。

 山口知事は「一方的な結論を佐賀県に押しつけられている状況」と不満を漏らし、協議については「フル規格を実現する協議の場と考えるのが自然。机の上にフル規格と書いてある」「私が応じることが、県民や関係者への間違ったメッセージにならないよう細心の注意を払っている」と応じない理由を並べた。

 長崎県への不信感も大きい。「佐賀県内の環境アセスの調査費にかかる予算措置を国へ要望したり、長崎県のさまざまな団体が佐賀県の関係団体に対して働きかけを行ったりしている」と批判。「長崎県知事に会っても、お願いしますと説得されるだけ。何度お会いしても話は同じ」と、とりつく島もない。

 自民県議からは「長崎県抜きの3者協議を開始すべきだ」という意見まで飛び出した。

 ■議論否定しない

 今後の議論の行方はどうなるのか。山口知事は「さまざまな意見を議論することは否定しない。ゼロベースから幅広く議論する必要がある」と考え方を述べる。フル規格を前提としない協議なら応じる姿勢だ。

 赤羽一嘉国交相は9月の就任会見で、山口知事との会談を望む発言を行った。山口知事は県議会定例会終了後、報道陣の取材に「大臣とはいろんな話をしたいと思っているので、できればさしで話をしたい」と語った。まずは2人の話し合いでどんな意見が交わされるかが焦点となりそうだ。(北島剛)

   ◇   ◇

 ◆九州新幹線西九州(長崎)ルート整備の経緯 西九州ルートの整備計画が決定したのは1973年。武雄温泉-長崎は線路幅が在来線と同じスーパー特急方式で整備する予定だったが、2012年にフル規格に格上げされ着工が認可された。新鳥栖-武雄温泉は従来の長崎線の軌道をフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)が走る計画だったが開発が頓挫。新幹線と在来線を乗り継ぐリレー方式で22年度に開業することになった。長崎県やJR九州は、新鳥栖-武雄温泉のフル規格整備を求めている。

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