担当医、人生の道しるべ 高校で靱帯断裂 福岡選手 医師の姿勢に憧れ

西日本新聞 社会面 大窪 正一

 スコットランド戦に先発出場した福岡高出身のWTB福岡堅樹選手(27)が、2トライをマークするなど史上初の8強入りを支えた。大会直前にも負傷するなど幾多のけがを経験。ただ、そのけがこそ成長と飛躍のきっかけでもある。高校時代、選手生命に関わる大けがで出会った整形外科医がその後の人生を変えた。

 福岡選手の父は歯科医で母方の祖父が内科医。幼い頃から医師に憧れがあり、ラグビーに打ち込むのは高校までと思っていた。高校2年の夏合宿。初めて17歳以下(U-17)の日本代表候補合宿に参加する1週間前に左膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂して手術した。

 その担当医が現在「まえだ整形外科 博多ひざスポーツクリニック」の前田朗院長(57)だ。大阪での勤務時代、当時プロ野球オリックスでプレーしていたイチロー選手の治療経験もある。福岡選手の冷静で落ち着いた雰囲気がそのスーパースターと重なったという。「イチローさんは『先生の言う通りにします』という感じで、プロはプロを尊重するというか。福岡選手も高校生ながらそんな空気感があった」と振り返る。

 高校3年の夏、今度は右膝前十字靱帯を断裂。手術すれば全国大会の予選に間に合わない恐れがあった。福岡選手もさすがに落胆。そこで前田氏は手術以外の治療として周辺の筋トレとテーピングで固定する保存療法を提案した。福岡選手はそのおかげで県予選を勝ち抜き、全国大会に出場。患者に寄り添う前田氏に感謝しながら、おぼろげだった医師への憧れが膨らみ、目指す医師像も定まった。

 一方で迷いもあった。断ち切れぬラグビーへの思いだ。医学部受験の失敗後、ラグビーで完全燃焼した後、再び医師を目指すプランに変更した。筑波大情報学群に進学。日本代表に入るなど成長を遂げて前回のW杯や7人制でリオデジャネイロ五輪にも出場。来夏の東京五輪で競技に区切りをつける予定だ。

 今も交流を続ける前田氏は「医師はいつでも目指せるが、ラグビーは今しかできない。スポーツ選手のセカンドキャリアのモデルケースとしても夢を与えられる」と応援。ただ「もうけがはしてほしくない」という「親心」で見守っている。夢の一つをかなえた福岡選手。周囲の後押しも受けながら、次の挑戦へ疾走する。 (大窪正一)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ