テレビドラマ史に残る名作とされる「岸辺のアルバム」…

西日本新聞 オピニオン面

 テレビドラマ史に残る名作とされる「岸辺のアルバム」。山田太一さんが脚本を手掛け、1977年に放映された。74年に起きた実際の水害がモデルになった

▼東京都と神奈川県の境を流れる多摩川の堤防が決壊し、家屋が流された。家を失っただけでなく、家族のアルバムを失ったことがつらかった-という被災者の思いを山田さんが知り、作品が生まれるきっかけになったそうだ

▼その多摩川だけでなく、千曲川や阿武隈川など九州の私たちも名を知る川を含め、東日本で大小の河川が次々と氾濫した。関東を縦断した大型で強い台風19号である

▼大雨・洪水警戒レベルでは最高の「大雨特別警報」は13都県に。過去最多だ。記録的な豪雨で河川からあふれた濁流が岸辺の家々を襲った。多数の死傷者・行方不明者が出た。屋上に逃れて助けを待つ人々の姿も。流される橋、冠水した道路。車両センターで新幹線が水没した映像も衝撃的だった

▼ドラマでアルバムが象徴したように、たとえ家を失っても家族の命さえ無事ならやり直すことができる。災害の犠牲者を可能な限り減らすよう、救助や支援活動に全力を挙げてほしい

▼それにしても、「数十年に1度」という荒々しい気象が続く。地球温暖化が一因とも。対策を求める世界の若者たちが「未来を奪うな」と声を上げているが、将来ではなく、今まさに直面している危機なのだと改めて肝に銘じたい。

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