助けたい、でも有害鳥獣 側溝に弱ったアナグマ 発見の男性「何とか元気に」

西日本新聞 筑後版 片岡 寛

 「自宅近くに弱ったタヌキがいる。治療して助けられないか」。久留米市の男性から、西日本新聞社久留米総局にこんな電話が寄せられた。市役所に相談したところ「生きた野生動物は自然のままにして手を出さない」と回答されたため、新聞社に連絡したという。現場に行ってみた。

 男性は、同市御井町の桑原康世さん(76)。14日朝に自宅近くの側溝で1匹の「タヌキ」を見つけた。左の前足をけがしているためか、人が近づくと反応はするが逃げない。いったん桑原さんが近くに放したが再び側溝に戻ったという。

 桑原さんは当初「野生動物だからそのまま死んでも仕方ない」と思った。だが一緒に住む小学生の孫や近所の子から「助けてあげて」とせがまれた。耳納連山の山裾にある自宅周辺では、以前からタヌキやイノシシ、ハクビシンなどが出没していた。「命の大切さを子どもたちに伝えられるかもしれない」と考え直し、最寄りの派出所や市役所に相談したそうだ。

 記者が撮影した画像を市鳥類センターに確認してもらったところ、タヌキではなくアナグマだった。鳥類センターではアナグマとタヌキの両方を飼育しており、間違いなさそう。担当者は「野生動物はいろんな菌を持っていて、人に感染するものもある。むやみに触らないで」と注意を促す。

 一方、市みどりの里づくり推進課によると、アナグマやタヌキは、農作物を荒らす有害鳥獣に指定されている。被害報告を受けてわなを置き、年数匹ほど捕獲、処分しているという。

 県の出先機関にも聞いた。「助けたい気持ちは分かるが、駆除の一方で保護するのは行政としてできない」との話だった。

 取材結果を伝えると「役所の言い分は分かりました。何とか元気になって山に帰ってくれれば」と桑原さん。15日午後、アナグマの様子を見に行くと、一段と弱々しくなっていたそうだ。 (片岡寛)

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