支持率急落、幕引き急ぐ? 文政権 総選挙視野、対日強硬策も

西日本新聞 国際面 池田 郷

 【ソウル池田郷】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領に看板政策の検察改革を託されたチョ国(グク)法相が14日、辞任に追い込まれた。直前の世論調査で文氏の支持率が過去最低を更新し、政党支持率でも最大野党が与党に肉薄。来年4月の総選挙をにらみ、政権与党が幕引きを急いだとの見方もある。チョ氏の任命を強行した文氏の責任が問われるのは必至だ。文氏の求心力が低下すれば世論対策として「対日強硬カード」を切り、政権浮揚を図る局面も予想される。

 韓国の世論調査会社が14日付で発表した政党支持率は、文政権と与党「共に民主党」に衝撃をもたらした。共に民主党の支持率35・3%に対し、最大野党「自由韓国党」は34・4%とわずか0・9ポイント差。韓国紙によると、昨秋には約26ポイントの差があったという。

 最近の各種世論調査で明確になりつつあったのは中道層の政権与党離れだ。中道層の支持を失えば、総選挙の勝利はおぼつかない。与党敗北なら文政権はレームダック(死に体)化するとの見方が強く、チョ氏辞任は不可避だったと言える。

 一方で政権与党の支持基盤である革新層は検察改革とチョ氏続投を求めており、今回の辞任劇には反発も強い。政権側が幕引きを図ったとの見方に対し、大統領府などは「自発的な辞任」と火消しに躍起だ。

 韓国の主要紙は15日、急転直下の辞任劇をそろって1面トップで伝えた。保守系紙を中心に「文大統領と与党は国民の声にもっと耳を傾け、二分した民心を落ち着かせるため最善を尽くさなければならない」など厳しい論調が目立った。

 文氏は11月、任期5年の折り返しを迎える。国内経済は低調で、北朝鮮の非核化を巡る米朝交渉も停滞し、内憂外患の状況にある。

 韓国では任期途中で求心力を失った大統領は歴代、歴史問題などで「対日強硬カード」を切り、国内世論をまとめようとしてきた。文政権もチョ氏の親族を巡る疑惑が浮上して以降、すでに日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)を破棄したり、日本の輸出管理強化への対抗措置を取ったりしている。

 韓国政治に詳しい研究者は「選挙が近づけば国内世論をより意識し、ますます日本に譲歩する姿勢を見せにくくなる」と指摘する。

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