幕末の志士、高杉晋作は1839年9月に現在の山口県萩市で生まれた…

西日本新聞 オピニオン面

 幕末の志士、高杉晋作は1839年9月に現在の山口県萩市で生まれた。今年は生誕180年。短い生涯ながら今も多くの人を引き付ける魅力がある

▼思想に影響を与えたのは藩命で訪れた上海の光景だったという。当時は西洋列強の植民地状態。わが物顔の外国人が霊廟(れいびょう)に土足で立ち入る。現地の人は卑屈に端によけて道を譲る。憤慨とともに、同行した幕府官僚の堕落を目にして徳川政権への失望も募らせていく

▼奇兵隊の創設者でもある。「士」だけでなく「農工商」身分の者も戦闘員に組み入れ、近代的な軍隊をつくった。封建制にとらわれない新しい発想で明治維新の扉を開いていった

▼けれど、功労者の末路は悲惨だった。維新後の奇兵隊は不要の軍事力と見なされ、使い捨てのように解散を命じられる。一部は正規軍に編入されたが、採用は戦功より身分の高い者を優先した。不平の満ちた下級隊士は蜂起。かつての仲間が敵味方に分かれて戦った末に壊滅していく

▼晋作はこの内乱の3年前に27歳で早世した。哀れな終幕を目にせずに済んだことだけは、幸いだったかもしれない

▼墓所のある同県下関市の東行庵(とうぎょうあん)では、63年ぶりに行った陶像の化粧直しが9月に終了。苑内の紅葉もこれから見頃となる。市内には終焉(しゅうえん)の地などが残り、絶えない生花が人々の思慕の情を伝えている。行楽の季節、海峡の街にゆかりの場所を訪ねるのもお勧めである。

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