仮設住宅退去で課題浮上 高齢、貧困…人手不足も 熊本地震3年半

西日本新聞 古川 努

 2016年4月の熊本地震の本震から16日で3年半を迎えた。仮設住宅などで暮らす人たちの退去期限が順次迫る中、引っ越しを巡る課題が顕在化してきた。高齢、貧困、精神や身体の障害…。支えを必要とする人たちからのニーズが高まるにつれ、支える側もマンパワーの限界が近づく。福祉目線のきめ細かな支援を維持できるのか。現場には不安もある。

 熊本県の益城町社会福祉協議会には今年に入り、仮設住宅からの引っ越し相談が増えた。夏までに46件。仮設住宅の入居期限は原則2年で、区画整理の進捗(しんちょく)状況などで自宅再建が間に合わない世帯に限り、1年ごとの延長が認められる。延長が認められなかった世帯が4月以降、退去期限を迎えたためとみられる。

 「この時期まで仮設に入っている人たちには、何らかの事情があるケースも少なくない」。町社協の阪本里香さん(51)は相談を受けると必ず訪問し、面談する。体を動かしづらい。片付けやスケジュール管理が苦手。引っ越し業者のペースに合わせられない。生計を維持するのがやっと-。被災者それぞれの事情が見えてくるという。

 「精神や身体の障害、1人暮らしの高齢者の引っ越しには、福祉職員の立ち会いが望ましい」と阪本さん。必要に応じて、スケジュール管理や荷造りを手伝う。その件数は18件に上る。

 だが、トラックでの家財運搬には対応できない。阪本さんが頼りにするのは「みんボラさん」。同町中心に活動を続ける四つの災害ボランティア組織でつくる支援団体「みんなのボランティアステーション」だ。

 窓口は、被災者の見守り活動を担う自治体の地域支え合いセンターや社協。基本は有償で、転居で支給される公的助成金10万円を超えない範囲で設定する。相場は5万円程度。経済的困窮など特段の理由があれば、センターや社協の助言を踏まえて減額や無償で請け負うこともある。

 同県の仮設入居者は9月末現在、3170世帯7246人。災害公営住宅は年度内に全て完成予定で、来年4月以降、引っ越し支援のニーズはさらに高まるとみられる。

 ただ、支援する側の人手不足は深刻だ。阪本さんは「担当職員は2人。対応できるのは最大で月4、5件。事情を見極め、優先順位を付けるしかない」と話す。「みんボラ」の松岡亮太代表(35)も「寄付金もボランティア志願も減り、正直運営は苦しい」という。

 それでも踏ん張れるのは、3年半で築いた「顔が見える関係」があるから。阪本さんは「古里の支え合いの輪に戻れるよう、必要な支援を心掛ける」。松岡さんは「私たちの役割は最後尾の人たちの伴走。完走できるよう最後まで手伝いたい」と決意を込める。 (古川努)

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