済生会八幡病院が移転へ 老朽化、人口減に対応 周辺の一部病院から反対も

西日本新聞 北九州版 東 祐一郎 竹次 稔

 地域医療の拠点となっている済生会八幡総合病院(八幡東区春の町5丁目)が、西側へ約7キロ離れた八幡西区則松地区へ移転する計画を進めている。建物の老朽化や人口減に対応するためで、早ければ2022年に開業する。移転先は開発が制限されている「市街化調整区域」内にあり、大規模な病院の新たな設置は異例。移転先周辺の一部病院からは「ベッド数が過剰になる」などと建設反対の声が上がっており、波紋が広がっている。

 同病院によると、現在の病院は延べ床面積約2万4千平方メートルで、ベッド数は403床。東西2棟あり、東棟が1992年、西棟は72年の建設。2015年に耐震診断を行ったところ、基準を満たさないことが分かり移転の検討を本格的に始めた。

 八幡東区には市立八幡病院など総合病院が複数あり、人口減少も見据えて、移転先を同区の約3・8倍の人口を抱える八幡西区にした。複数候補地の中から「JR駅周辺」「患者が来やすい」を考慮し、則松地区が最適と判断。ただ、近くには瀬板の森公園がある「市街化調整区域」のため、16年から市側との調整に入った。

 識者らで構成する市開発審査会は、建物の構造や敷地利用のあり方などの審査を行い、計画を修正した上で18年6月に承認。同病院によると、新病院は延べ床面積約2万7千平方メートルの9階建て(約40メートル)で、現在約20ある診療科は維持し、ベッド数は約350床を想定している。

 移転先はまた、県指定の「津波災害警戒区域」にもあたり、想定する最大量の雨が降った場合、0・5~3メートル未満の浸水が見込まれている。済生会側では、病院周辺の土壌や水路、道路の拡張などの計画について、開発許可の申請準備を進めており、「地下室を造らず、盛り土をすることで、水没しないような構造とする」としている。許可が下りれば着工する予定だ。

 一方、移転先の半径5キロ以内には、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)九州病院、産業医科大病院、正和中央病院、福岡新水巻病院などがあり、地元の一部の病院が計画に反発。(1)医療機関が飽和状態で、済生会が移転するとさらにベッド数が過剰となり得る(2)道路が整備されておらず、交通網の混乱が予想される-などとして、同審査会に対して承認の取り消しなどの申し入れを行ってきた。

 北九州市保健福祉局は「八幡西区の医療機能の充実を図る上で移転は望ましい」との立場で、済生会八幡総合病院の北村昌之院長は取材に対して「医療も競争がなければだめ。過剰かどうかは患者が決める」としている。 (東祐一郎、竹次稔)

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