香港議会、初日から休会 民主派抗議 条例案撤回も延期

西日本新聞 総合面 川原田 健雄

 【香港・川原田健雄】市民の抗議活動が4カ月以上続く香港で16日、立法会(議会)の新会期が始まった。政府トップの林鄭月娥行政長官が施政報告をした後、混乱のきっかけとなった「逃亡犯条例」改正案の撤回手続きに入る予定だったが、民主派議員が一斉に抗議の声を上げたため、施政報告は中断され休会に追い込まれた。改正案撤回の手続きも23日に延期される波乱の幕開けとなった。

 「これから2019年の施政報告を行います」。午前11時、登壇した林鄭氏が演説を始めると、議場の民主派議員から「(普通選挙導入など)五大要求、一つも欠かせない」とのコールが起こった。

 議長が「議場から出てください」と促してもコールはやまず、議場にデモ隊のスローガンが投影された。施政報告はわずか2分で中断。約20分後、林鄭氏は再び報告を試みたが、同じように抗議が繰り返され、結局この日は休会となった。

 その後、林鄭氏はビデオ演説という異例の形で施政報告を実施。住宅供給の拡大や就学補助金の充実などを訴えた。過激化するデモの背景には貧富の格差など社会不満があるとされる。林鄭氏は市民生活の向上に取り組む姿勢を示して不満解消を図り、抗議活動の収束につなげたい考えだ。

 しかし、友人と立法会周辺を訪れた中学2年のバリットさん(13)は「議場で演説もできない姿はあまりにも格好悪い。住宅政策でごまかそうとしても市民の怒りは収まらない」と冷めた目線を向けた。

 行政長官が今月初め、立法会の手続きを経ずに必要規則を設けられる「緊急状況規則条例」を初めて発動し、デモ参加者のマスク着用を禁じる「覆面禁止規則」を施行したことにも反発が広がる。大学1年のキンソン・チョウさん(20)は「一度発動すると歯止めがなくなり、もっとひどい規則を次々と作りかねない。ネットの使用規制や資産凍結などにつながらないか心配」と表情を硬くした。立法会では覆面禁止規則を改めて審議する予定で、今後、デモ隊のさらなる反発も予想される。

 15日には、米下院が「香港人権・民主主義法案」を可決。近く上院でも可決される見通しで、中学2年のバラリーさん(13)は「中国政府に対する圧力になる。世界に関心を持ってもらえることは香港が良くなる一歩」と歓迎した。

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