メソポタミア文明を育んだチグリス、ユーフラテス川の中上流域に、クルド人は紀元前から住んでいた…

西日本新聞 オピニオン面

 メソポタミア文明を育んだチグリス、ユーフラテス川の中上流域に、クルド人は紀元前から住んでいた。中東を支配したオスマン帝国の崩壊で、その運命は大きく変わる

▼第1次大戦後、欧州列強によって帝国はトルコ、イラク、シリアなどに分割され、国境はクルドの地を引き裂いた。民族は分断され、各国の国境地帯に暮らすようになった

▼クルド人の総数は2千万~3千万人とみられ、国家を持たない世界最大の民族と呼ばれる。不当な扱いを受けることも多く、独立国家建設が悲願だ。一部は過激な独立運動に走った

▼反抗は弾圧を招いた。イラクの旧フセイン政権は毒ガスでクルド人を大量虐殺した。トルコでも反政府テロが相次ぎ、対立が激化した。シリア内戦では、クルド人勢力が米国とともに過激派組織「イスラム国」と戦い、壊滅に追い込んだ

▼シリア北部のクルド人勢力を「テロ組織」と敵視するトルコが突然、攻撃を仕掛けた。激しい戦闘で多くの市民が死傷し、難民となっている。だが、後ろ盾のトランプ米政権は米兵を撤収させ、越境攻撃を黙認した

▼トランプ氏は国内事情とてんびんに掛け盟友を見捨てたようだ。外交上も、人道的にも非難されて当然だ。クルド人勢力は米国と敵対するアサド政権と手を組む構えで、シリアの混迷は深まるばかりである。大国の利害に振り回され、苦難の道を歩むクルドの悲劇はいつまで続くのか。

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