いじめ、九州でも認知急増 求められる継続的ケア 「深刻化」阻止に課題

西日本新聞 社会面 前田 英男

 文部科学省による2018年度の問題行動・不登校調査で、九州でもいじめの認知件数が宮崎県を除いて大幅に増加した。特に大分県は1万1356件と前年度(5493件)から倍増。背景には、同県が18年度から導入するスクールロイヤー活用事業がある。

 いじめの予防、解決に法律の専門家である弁護士の知恵を生かす新たな取り組み。各学校での予防授業や教職員研修、電話相談などを実施している。「子どもも教職員も明らかにいじめへの感度と対応力が上がった」(同県教育委員会)。文科省もその効果に注目し、来年度は全国に配置を拡大させる方針だ。

 九州は千人当たりの認知件数で全国最多(宮崎)と最少(佐賀)を抱える。調査方法などは各自治体に委ねられているため、ある程度の地域差は想定内とされる。ただ、学校でのアンケートを含めて教職員が発見する割合は、九州の各県が5~8割に対し佐賀県は32%。本人や保護者からの訴えの方が多い。佐賀県教委は「大事な視点で結果をきちんと分析し、しっかり取り組みたい」と言う。

 過去最多を更新し続けるいじめの認知。文科省も件数自体は肯定的に捉えるが、その一方で心身に深刻な被害を伴う「重大事態」も増加。いじめの掘り起こしと深刻化を防ぐ取り組みが必ずしも連動していない現状も浮き彫りになっている。「重大事態になった場合の追及を考え、とりあえず事案を挙げておくというのが今の対応」と、福岡県の小学校教諭は打ち明けた。

 全体の認知件数に対し昨年度、解消しているとの回答は8割強に上った。いじめを巡るニュースが後を絶たない中、学校側が解決を急ぐあまり、形式的な対応になっていないか疑念は残る。多忙化する現場に考慮し、支援態勢は徐々に進む。何を持って解決とするのか。継続的なケアと観察が求められている。 (編集委員・前田英男)

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ