裁判官のやる気で救済格差 大分市のプレ集会で訴え 日弁連・人権大会リポート(3)

西日本新聞

 再審法制の不備が招く影響の大きさについて、九州の大崎事件と飯塚事件の弁護団がプレ集会(9月21日、大分市)でも訴えた。

 なぜ証拠開示が必要か。1979年に鹿児島県で男性の変死体が見つかった大崎事件の弁護団、鴨志田祐美弁護士は「警察と検察はあらゆる証拠を、被告人に有利不利を問わず地引き網のように集める。しかし裁判に出すのは有罪立証に必要な証拠だけ。無罪方向の証拠は彼らの手元で眠ったままだ」と語る。

 大崎事件で検察は、弁護団の証拠開示の求めに「ない」を繰り返していたが、第2次再審請求で福岡高裁宮崎支部が開示を勧告すると、213点が出てきた。3次請求でも鹿児島地裁が「存否を調べ、不存在の場合は合理的な理由を報告せよ」と踏み込んだ勧告をした結果、計18本のネガフィルムが警察署の写真室から「発見」された。

 3次にわたる再審請求の中で弁護側は、法医学鑑定などを通じ自白や死因の信用性を争った。鴨志田氏は「最後の決め手が開示された写真ネガ。この写真で大崎事件は事故だった可能性があると、裁判所は心証を強めたと思う」と語る。

 調書や証拠物の開示を裁判所が検察に求める「証拠開示の勧告」は、大崎事件で6回。飯塚事件では1回にとどまるが、その1回の勧告で、有罪判決の根拠の一つである目撃供述を警察が誘導していた可能性が判明。目撃者から話を聞き供述調書を作った捜査員が、その2日前に久間三千年(みちとし)元死刑囚=執行時(70)=の車を下見していたことが明らかになった。

 92年に福岡県で2人の女児が殺害された飯塚事件の弁護団、徳田靖之弁護士は「見込み捜査で犯人を絞ってそれに合う証拠を作り、矛盾する証拠を隠す。目撃供述が久間さんの車に合う方向で詳しくなる事実が分かったのは証拠開示の成果だ」。一方、弁護側が求める他の捜査記録について、裁判所は開示勧告を出さないままだ。

 鴨志田氏は「裁判官の裁量で無辜(むこ)の救済に差が出る『再審格差』は許されない。やる気のない裁判官に積極的な訴訟指揮を促すには法改正しかない」と説く。

 飯塚事件は地裁、高裁で再審請求が棄却され最高裁で審理中。大崎事件は再審開始決定が計3回出たが検察官が抗告し、上級審で覆された。鴨志田氏は「検察官抗告がなければ17年前に原口アヤ子さんの再審開始は確定していた。これ以上92歳のアヤ子さんを待たせる『再審妨害』を人道的にも禁止しなければいけない」と語った。

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