おいしいお米を、より良い所作で 稲作と祭りの神無月

西日本新聞 くらし面

 猫の小町と申します。皆さんがお困りのことをたちまち解決していきます。第3水曜は、さまざまな場面のマナーについて「インフィニ フィニッシング アカデミー」(福岡市)の副校長本多美智子さんにお助けいただきます。

 1年の12カ月にはそれぞれ、旧暦の呼び方に基づく異名があります。その時々の季節を表しているものが多いといわれ、その由来は諸説あります。

 たとえば1月は睦月(むつき)。生命の始まりを意味する「元(はじめ)の月」や、人の「結び付き」が語源という説があります。2月の如月(きさらぎ)は、草木がよみがえることを表した「生更木(きさらぎ)」が転じたものともいわれます。さて、10月の異名は神無月(かんなづき)。なぜ「神様が無い」のでしょうか。

 「全国の神々が島根県の出雲大社に集まり、地元に神様が不在」という説が、今では一般的でしょう。出雲に集まる理由は、会議や縁結びの相談などさまざまに言い伝えられています。

 他にも、11月に行われる収穫祭の一つ「新嘗祭(にいなめさい)」を前に、10月は祝い事を控える「物忌み」の時期だったことを表すとの解釈や「神を祭る月」から転じたという説も。今回は「稲作と祭り」に注目します。

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 新嘗祭は11月23日、その年に収穫された新米などを天皇が神に供える、宮中祭祀(さいし)です。農業が生活の基盤であった日本人にとって、新年に匹敵する大切な行事とされてきたそうです。

 稲穂の大半が黄金色に染まると、米は稲刈り時を迎えます。近年は品種改良や機械化が進み、収穫や出荷が早い米もあるようですが、かつてはそうもいきません。乾燥、脱穀、選別…。全て人の手で行われていた時代、米作りは現代以上に長時間の重労働でした。

 そんな収穫期ごろの10月には、各地の氏神を祭った神社で秋の行事が行われてきました。農村の人々にとっては、苦労を経て得た実りに感謝する「神祭りの月」だったことがうかがえますね。

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 さて、ここからは「お米」の話。お米のおいしさには、稲作に適した地域、気候、土壌、水そして生産者の思いが反映されます。つややかで、もちもちした食感、かむほどに生まれる味わいの深さ。ふっくら炊きあがった新米を口にすることは、何にも代え難いぜいたくです。おいしいお米を、より良い作法でいただきましょう。

 以下、ご飯、留椀(とめわん)、香の物(漬物)の場合です。

(1)ご飯は左側、留椀は右側、香の物は中央に置かれます。これが配膳の基本です。

(2)ふた物が使われているときは、どちらもふたを開けます。ご飯茶わんのふたは左側、留椀のふたは右側に置きます。

(3)香の物は、ご飯茶わんを受け皿代わりにして取り、口に運びます。

(4)このとき香の物をご飯にのせません。これはご飯を汚さないようにするためと、日本の食事では口中調味(こうちゅうちょうみ)といってご飯とおかずを別々に口に運び、口の中で調味して味わうことからきています。

(5)ご飯とみそ汁、香の物は交互にいただきます。

(6)死者に供える「一膳飯」の印象を避けるため、少しでもお代わりをすると良いでしょう。

(7)いただき終えたら、基本の形に戻します。ふたはひっくり返したりせず、また箸も茶わんに渡さずに箸置きの上へ。食事終わりの所作です。

 秋の匂いと味を、豊かに楽しみたいですね。

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