うきはの足、共助で守る 地元自治協が高齢者送迎 30日、市民向け運転講習会

西日本新聞 筑後版 糸山 信

 高齢化が進み、公共交通機関も少ないうきは市で、住民同士の支え合いにより「交通弱者」とされる人たちの暮らしを守る取り組みが始まっている。鍵となるのが送迎車両を運転するボランティアの確保だ。持続可能な支援策として地域に根付かせることができるのか。模索が続く現場の声を聞いた。

 市内の御幸小の南側にある車庫。午前8時半、児童を送り届けたばかりの10人乗りバスから、再びエンジン音が響き始めた。

 ハンドルを握るのは妹川地区自治協議会の國武輝興会長(72)だ。車両の点検、業務日誌の記入を終えると、巨瀬川沿いに続く県道を右に左に上っていく。

 「もうすぐ左側に1人いるはず。いつも20分前には来てますから」

 國武会長の視線の先には乗車を待つ女性の姿。バスはその前を通り過ぎる。いったん八女市との境に近い調音の滝公園まで上って折り返し、乗客を拾っていくのだ。バスを見送る女性の姿が何ともほほ笑ましい。

 バスは火~金曜の週4日運行。うきは市内であれば乗客の目的地まで送り届ける。利用者は午前中のうちに通院や買い物などを済ませ、迎えに来たバスで乗車地点まで戻る。利用は無料で、一度登録すれば、事前予約の必要はない。

 妹川では42人が登録しており、この日は7人が利用。通院などで週2~3回使う堀江チヨさん(80)は「予約制と違って朝、急に思い立っても利用でき、本当に便利。車内のおしゃべりも楽しみ」と目を細めた。

 バスの運行が始まったのは5月。妹川では少子化のため昨年度末に妹川小が閉校し、4月から麓の御幸小に統合された。在校生は市が購入したバスで通学することになり、昼間の空いた時間、住民向けに車両を有効活用しようと官民で準備を進めてきた。

 運転手は60代以上の6人が交代で担当する。國武会長は「運転手も全員地元だから、乗客の予定はだいたい知っている。乗るはずの人がいない場合、市の保健課に連絡して確認してもらったこともある」と見守りの効果も実感する。

 こうした住民共助の取り組みは市内各地で進んでおり、2018年度以降、計5地区の自治協が住民の移動支援活動を導入した。江南、小塩地区は自治協所有の車両でサービスを展開。御幸、福富両自治協も御幸小の通学バスを週1回、住民向けの健康教室・サークルの際に活用している。

 市保健課によると、各地区で課題として見えてきたのが運転ボランティアの確保だ。財政的な理由で自治協の自主運営に頼らざるを得ないのが現状だが、どこも利用無料が原則。有料化するとタクシーや路線バス事業のような手続きが必要になるためで、運行のハードルは一気に上がる。

 福富地区自治協で運転ボランティアを務める古賀淳二さん(74)は「働く世代だと平日の運転は難しい。農家は高齢でも体が動くうちは働くから、運転手の協力をお願いしにくい面もある」と打ち明ける。

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 市は少しでも運転ボランティアに関心を持ってもらおうと、30日に同市浮羽町浮羽の市立自動車学校で講習会を開く。次が3回目で、これまでの受講生計20人は各地区で活躍している。

 当日は講義、適性検査の後、10人乗り車両の運転実技がある。普通運転免許を持っていれば、年齢は問わない。受講無料。市民が対象で23日までに申し込む。

 市保健課地域包括支援係の担当者は「行政が取り組む介護や生活支援事業は人手不足が深刻。移動支援を中心にした住民共助の取り組みへの期待は大きい」と参加を呼び掛ける。同係=0943(75)4105。 (糸山信)

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