若い世代「心に刺さった」 水俣病犠牲者慰霊式 教訓継ぐ 誓い新た

西日本新聞 熊本版 古川 努 壇 知里 村田 直隆 綾部 庸介

 19日、水俣市で営まれた水俣病犠牲者慰霊式には、若い世代も参列した。もう二度と、目の前の海を「苦海」には戻すまい-。患者や被害者たちの高齢化が進む中、そんな思いを新たにした。 

 同市の自営業柏木美智子さん(62)は、これまで1人で参加していた式典に、初めて娘と孫を誘った。3人の孫は0~7歳で「小さい頃から雰囲気だけでも感じてほしい」との思いからだ。柏木さんの娘である高佐美樹さん(37)は「大人になってからは水俣病を学ぶ機会がなく、私にとっても貴重な体験だった。子どもたちには、これから時間をかけて話していきたい」。

 水俣病の経験や教訓は、次世代を担う子どもや若者の教材にもなっている。芦北町立内野小の塚田真也校長は「環境や人権をテーマに地域の歴史を深く学び、考えを深めている。大事なのは続けること」と強調。熊本市の熊本大3年中園皐志さん(20)は、講義の一環で初めて水俣市を訪れた。目の前で患者の言葉を聞き「座学では感じられない重みがあって、心に刺さった」という。

 それでも、患者や家族の高齢化が進み、風化が懸念される。13日には、当初から精力的に活動してきた認定患者の坂本フジエさんが94歳で亡くなった。患者の支援活動を続ける水俣市の高倉鼓子さん(32)は「フジエさんたちが切り開いてきた道を、どう受け継ぎ行動していくことができるか、考え続けていきたい」と改めて誓った。(村田直隆、古川努、壇知里、綾部庸介)

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「生まれ変わった海守る」  小6・下鶴さんと佐々木さん 

 小中高生代表として「祈りの言葉」を読み上げた水俣市立水東小6年の下鶴将大(まさひろ)さん(12)と佐々木実子さん(11)は「犠牲になった尊い命と患者さんの気持ちを忘れずに、正しい知識を伝えていきたい」と力を込めた。

 「きれいな海に悲しい歴史があったなんて知らなかった」という2人。小学校で初めて当時の被害を伝えるビデオなどを見たときは「怖い」と感じたが、水俣病資料館を見学し、語り部の南アユ子さんから話を聞くなど、学びを重ねるうちに印象が変わったという。

 下鶴さんは「境遇に負けずに力強く生きている姿に希望を感じた。差別やいじめをなくしたい」と強調。佐々木さんも「水俣病を教訓とするからこそ、今の自然豊かな水俣があるのだと学んだ」と話した。

 2人は、水俣病被害者が長年差別に苦しんできたことに触れ「いじめをなくし、笑顔あふれる学校にしたい」と宣言。「生まれ変わった海を守り続けていきます」と締めくくった。

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