農業+窯業=魅力アップ 波佐見町 新観光地づくり 官民で推進

西日本新聞 長崎・佐世保版 平山 成美

 波佐見町は、観光の魅力を高めるために「グリーンクラフトツーリズム」に力を入れる。観光客は順調に増え、目標としていた年間100万人を2年前に達成した。さらなる集客には課題もあるが、地元で長く培ってきた農業(グリーン)と窯業(クラフト)に磨きをかけ、波佐見ならではの観光(ツーリズム)を提供する。

 町の中心部に近い「西の原」。週末は県内外のナンバープレートを付けた車が駐車場を埋める。古びた製陶工場跡は陶器や雑貨の販売店、カフェなどが集まる人気スポットに生まれ変わり、女性客が絶えない。

 1989年に17万人台だった観光客は、2017年に初めて大台を超え、111万人を記録した。

 町は01年に「来なっせ100万人」のスローガンを掲げ、官民でハード、ソフト両面の対策に取り組んできた。焼き物作りが体験できる「文化の陶 四季舎」、多くの窯元の器を見比べながら購入できる「くらわん館」、西の原の整備。波佐見焼の絵付け、タマネギやイチゴの収穫などの体験型観光にも力を入れた。

 町内のNPO法人グリーンクラフトツーリズム研究会の事務局長、小林善輝さんは「焼き物文化を基盤にした観光地づくりをしてきた成果」と考える。かつては有田焼として売っていた波佐見焼だが、2000年代に入り、デザイン性や使いやすさでブランド力が高まったことも観光客増加の背景にある。

   ◇   ◇

 町は21年までに年間120万人を達成する目標を新たに立てた。課題は宿泊客と観光消費額の少なさだ。

 県観光統計によると、18年の観光客103万7千人のうち、91・6%が日帰り客だった。15年に二つのホテルが開業したが、町内の宿泊施設は13カ所、150室ほどしかない。

 日帰り客1人当たりの飲食娯楽費は県平均2955円に対し、波佐見町は585円。波佐見の観光を研究する県立大の竹田英司准教授(地域経済学)によると、県内最低レベルという。

 食事をする店が少ないため「観光客が飲食を求めて町外に流れている可能性は否めない」と町商工振興課の沢田健一課長。町観光協会の松下和徳会長も「『波佐見に行ったらこれを食べたい』と思える食がない」と弱みを認める。

 グリーンクラフトツーリズムは、こうした現状の改善を視野に入れる。

 「飲食店で使う食材を地元の農作物で賄うようにしたい」と小林さん。県外から料理人を招き、地元の食材で作ったコース料理を波佐見焼の器で提供するイベントを昨年から開催している。「食と器」の付加価値を高めるのが狙いだ。

 宿泊面では、町が現在8軒ある民泊施設の増加、屋外宿泊が楽しめるキャンプ施設の整備を検討する。

 町に訪日外国人客の誘致を助言している企業「やまとごころ」(東京)の村山慶輔代表は「近くのハウステンボスや武雄に来ている観光客を呼び込むには、近隣のホテルや飲食店でのPRが大事」と強調。さまざまな体験プログラムを旅行商品にして、外国人に発信することを提案する。

 モノを買う観光より、地域特有の体験をして、食文化や住民との交流を楽しむ観光が求められる昨今。竹田准教授は「波佐見町のリピーターはのどかな田園風景に愛着を感じている。窯業や農業を体験する観光でファンを増やし、焼き物を購入してもらう循環ができるのが理想的」と話す。(平山成美)

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