水俣病63年救済遠く 犠牲者慰霊式、830人祈り 1667人なお審査待ち

西日本新聞 一面 村田 直隆

 水俣病犠牲者慰霊式が19日、熊本県水俣市で営まれ、患者や遺族、原因企業チッソの木庭竜一社長、小泉進次郎環境相ら830人が参列した。公式確認から63年。熊本、鹿児島両県で1667人が認定申請の審査を待ち、2度の「政治決着」による救済策から漏れるなどした1700人超が訴訟を続けている。昭和の高度経済成長の陰で起きた公害は、令和を迎えても全面解決が見通せていない。

 式典では、亡くなった認定患者のうち、前回慰霊式以降の約1年半で遺族の申請があった4人の名簿を慰霊碑に奉納。鎮魂の鐘が響く中、全員で黙とう、献花した。

 患者と遺族を代表し、認定患者で水俣病資料館語り部の上野エイ子さん(91)が祈りの言葉を述べた。1958年に劇症型水俣病で夫が死去し、6日後に生まれた胎児性患者の娘も2歳で亡くなった経験を語り、「私のようにつらく悲しい思いをしないで済むように、自然を大切にすると約束してください」と訴えた。

 小泉環境相は「水俣病の拡大を防げなかったことを改めておわびする」と謝罪。「公害のない持続可能な社会の実現に向け、自然環境を保全し、将来に継承していくことを誓う」と語った。木庭社長は「(患者への)補償責任の完遂は、今後も決して変わることなく継続する」と述べた。

 認定患者は両県で計2283人おり、うち1951人は既に死亡している。水俣病被害者救済法(2009年施行)に盛り込まれた不知火海沿岸全住民の健康調査が行われていない現状について、小泉環境相は記者会見で「(調査の)手法開発は慎重かつ確実にしなければならない。時間を要しているが着実に進めている」と述べるにとどめた。

 慰霊式は例年、公式確認された5月1日に営まれるが、今年は新天皇即位日と重なったため延期された。 (村田直隆)

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