ロボット遠隔手術 実用化に挑む 九大や鹿児島大、来年度にも実験着手 鍵は安全性とコスト 離島、へき地医療の期待担い

西日本新聞 医療面 井上 真由美

 手術支援ロボットを通信回線で結んで行う遠隔手術の実用化に向けた研究が、九州大、鹿児島大、北海道大、弘前大の4大学で来年度にも始まる。遠隔手術の安全性を担保する通信状況などを検証する。実用化されれば、医師不足が深刻な離島やへき地でも高度な手術が受けられるようになり、医療格差の解消につながると期待される。

 米国製の手術支援ロボット「ダビンチ」を使った手術は現在、胃がんや直腸がんの切除手術など14の手術に公的医療保険が適用されている。執刀医は患者が横たわる手術台から少し離れた操作台に座り、3D画面を見ながらアームを操作。アームに取り付けた内視鏡や鉗子(かんし)を患者の体内に挿入して手術する。ダビンチは全国に300台以上が導入され、今後は国産ロボットの開発も進む見通し。

 遠隔手術の研究は、患者がいる場所にアームと操作台1台、遠く離れた場所にもう1台の操作台を配備し、双方を通信回線でつないで実施する。まずは大学病院を結び、動物などを使って安全性を検証。通信にトラブルがあった場合も、患者のそばにいる医師が対応できる環境を整える。

 厚生労働省は7月、オンライン診療に関する指針を見直し、遠方にいる医師でないと難しい手術が必要なのに患者の搬送や移動が難しい場合に遠隔手術を認めた。具体的な対象疾患や適用対象は関連学会がガイドラインを策定するとしている。これを受け、日本外科学会、日本内視鏡外科学会、日本ロボット外科学会を中心に、ガイドラインをまとめていく。

 日本外科学会の遠隔手術実施推進委員会メンバー夏越(なつごえ)祥次・鹿児島大病院長によると、遠隔手術は(1)外科医が不足している離島やへき地でも高度な手術が受けられる(2)へき地に赴任している若手医師もロボット遠隔手術を通じて、ベテラン医師の手技を学ぶ機会が持てる-といったメリットがある。一方、ダビンチは1台が2億~3億円で、へき地への病院配備は難しいなど、普及には課題も多い。

 夏越院長は「万全の安全性を担保することが大前提だが、大学病院と離島の病院を結んで遠隔手術ができれば理想的。教育的な効果も大きく、外科医不足、医師の偏在の解消につなげたい」と期待する。 (井上真由美)

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