ウイング福岡、湯船の父から力 最後のW杯、ジャパンをけん引

西日本スポーツ 社会面 大窪 正一

 日本のエース、福岡高出身の福岡堅樹選手(27)が自ら最後と決めて臨んだ2度目のW杯が幕を閉じた。幾多のけがや挫折を乗り越えてトライを量産し、日本の快進撃をけん引した晴れ舞台。大切にした父との男同士の「裸の付き合い」が飛躍の原動力だった。

 福岡選手の父、綱二郎さん(61)もラグビー経験者だった。全国大会で2度優勝している大阪の伝統校、天王寺高でプレー。「ポジションも堅樹と同じWTBで11番でしたが、私はそこまでスピードがなくて」と笑う。5歳から玄海ジュニアラグビークラブ(福岡県宗像市)で競技を始めた福岡選手にとって父は尊敬の対象だった。自然と父子で漬かる湯船でのラグビー談議が日課になる。綱二郎さんは「今でも帰ってくると一緒に入りますね」とうれしそうだ。

 4年前の前回W杯。敗れたスコットランド戦のみの出場に終わった。帰省した福岡選手から伝わる不完全燃焼の思い。「風呂に行こうか」。綱二郎さんは自宅から車で10分くらいの薬王寺温泉に誘った。鋼のようなたくましい息子の体。猛練習をこなしながらも力を出し切れなかった悔しさを思った。それでも特別な言葉は掛けなかったという。「オフの時間。全てを忘れてもらいたかった」。そんな父の心遣いを福岡選手が感じ取らないはずがない。

 「帰省し、リフレッシュできた」。翌年のリオデジャネイロ五輪に向けた7人制代表の合宿で、福岡選手は心機一転、競技に向かい合った。15人制と同じ広さのグラウンドを半分以下の人数で駆け回る7人制の練習で課題の運動量が向上。リオでの4位入賞に貢献しただけでなく、15人制のプレーの幅も広げる土台になった。

 次の、そしてラグビー最後の目標は7人制代表で臨む東京五輪。その後は医師を目指す。再び待つ厳しい戦いの前に実家に戻り、湯船で語らうつかの間の休息を父子ともに楽しみにしている。 (大窪正一)

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