日本4強逃す 歴史つなぎ開花、未来へ

西日本新聞 一面 大窪 正一

 日本の「航海」が終わった。次々と強豪を撃破して8強入り。ひたむきな防御と毎試合違う変幻自在の戦いぶりは国内外の注目を集め、世界ランキングは一時、過去最高の6位まで上昇した。心配された認知度も克服し社会現象化。これ以上ない盛り上がりを見せる。

 手塩にかけた選手と家族のような関係を築いたジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)。管理型のエディー・ジョーンズ前HC(現イングランド監督)とは対照的に選手の自主性とリーダーシップを重視。選手から湧き上がる力を武器に快進撃を続けた。

 1995年W杯にニュージーランド代表として出場したジョセフHC。99年W杯は桜のジャージーをまとった。当時の国際規定では可能で、招集した代表監督がくしくも20日が命日の「ミスターラグビー」の平尾誠二さん(享年53)だ。海外出身選手を積極活用し、主将にも初抜てき。情報分析重視のスタイルを築いた。今に通じる先進的な強化策。「平尾ジャパン」の遺伝子を「ジェイミージャパン」は継ぐ。

 17-145。95年のW杯で日本がニュージーランドに惨敗した大会最多失点記録だ。2015年大会で3勝を挙げるまでW杯で1勝21敗2分けと暗黒の歴史があった。平尾さんら先人が種をまき、ジョーンズHCが水をやり、ジョセフHCが咲かせた「桜」がそれを塗り替えた。

 大会成功の印象が増す一方、日本ラグビー協会の森重隆会長は「W杯後、潮を引いたようになるのが怖い」と懸念する。強化の土台だったスーパーラグビーから来季限りで日本チームが除外されることも決定。国内のトップリーグ改革も未知数だ。山積する課題にどう向かい、将来を描くか。

 今大会でラグビーの認知度は確実に上がった。その競技の魅力はもちろん、多様性を支える絆の力、選手の放つ情熱、レフェリーや相手に示す敬意といった競技の根幹を日本中に発信する絶好機。リーチ・マイケル主将は「自分たちの試合を見て、日本代表になりたいっていう子どもが増えると思う」とも語る。

 前回大会は勝利の盛り上がりを広げられなかった。今回のブームを文化に昇華させられるか。それは今大会のレガシー(遺産)を未来につなげられるかに懸かる。格闘性の強い競技。安全面も含めて保護者らも納得できる環境や裾野を広げる地道な活動も必要だろう。日本ラグビー界が「ワンチーム」となる番だ。 (大窪正一)

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