学校生活は教師の協力大切 菊池良和(九州大病院・吃音外来医師)

西日本新聞 医療面

吃音~きつおん~リアル(5)

 小学1年のB君は入学後、間もなく「学校に行きたくない」と言いだしました。同級生に話し方をまねされたり、「何でそんな話し方をするの?」と質問されたりすることが多いようでした。

 わが子の吃音(きつおん)を誰かに相談したことがなかった両親はどうしていいか分からず、私が開く「吃音外来」に相談に来ました。私はまず、話し方のまねや質問をするのは1人なのか、複数なのかを確認しました。すると、複数の同級生が面白がってやっているようでした。

 私がB君に「言葉を繰り返すの、わざとじゃないでしょ? こんな話し方になるの、自分だけだと思っている?」と問うと、「うん…」と不安そうに答えました。「菊池先生も言葉を繰り返すよ。わざとじゃないって、みんなに知ってもらって、まねや質問をしないように担任の先生からお願いしてもらおうか?」。こう提案すると、笑顔になり、「うん」と強くうなずきました。

 その後、担任が「B君の話し方はわざとではなく、まねをされると悲しくなります。みんなは話し終わるまでちゃんと聞いてくださいね」と説明すると、まねや質問をする同級生はいなくなったそうです。2カ月後の再診では「学校に行くのが楽しくなった」と報告してくれました。

 吃音は2~5歳で発症し、発症3年で男児6割、女児8割が自然回復します。ただ、小学2年ではっきりと吃音のある子は、小学生の間に治る可能性は低いとされています。私の外来に来る患者の約6割は、小学生の時にいじめ(本人が不快と感じるまね、指摘、笑いを受ける)の経験があります。

 小学生になっても吃音が続く場合は、同級生たちから嫌なことをされていないか、本人に確認してください。もしそうなら、B君の担任のように適切な接し方を同級生に説明してください。吃音がある子どもの学校生活が楽しくなるかどうかは、先生方の協力次第なのです。(九州大病院医師)

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