水道管老朽化、九州深刻 政令市など8市、全国平均超過 職員減、技術継承も課題

西日本新聞 総合面 郷 達也

 水道法改正には水道施設の老朽化が大きく影響している。九州の政令市、県庁所在市、中核市計10市によると、水道管総延長のうち、法定耐用年数の40年を過ぎた「管路経年化率」は佐賀、大分を除く8市が全国平均(14・8%、2016年度)を上回っている。

 厚生労働省によると、水道事業は高度経済成長期に整備された施設が劣化し、年間2万件超の漏水や破損事故が発生。耐用年数を超過した水道管は年々増え、全ての管路を更新するには130年以上かかるとの試算もある。震度6強程度の地震に耐えられる「耐震適合率」も39%にとどまり、老朽化は深刻だ。

 九州の10市で経年化率が26・6%と最も高い福岡県久留米市は、漏水被害が大きいビニール製配水管の更新を14年度から25年計画で進めている。担当者は「整備には技術者の数や予算規模も関係する。費用対効果も考え、耐久性の弱い管などを優先的に更新していく」と話す。

 経年化率24・8%の福岡市は、26年度までに40年超の管の更新を終える計画。1979年度以降の管には腐食対策でポリエチレン製の袋状の装着物を設置しており、地区によっては実質的耐用年数は最大120年程度と見込む。市水道局は「それぞれの管の寿命を算出して全うする直前まで使えば利用者負担にもつながらない」と工夫を凝らす。

 各自治体では職員不足による技術の継承も課題だ。福岡市水道局の職員数は約500人で、約35年前と比べ200人ほど減少した。うち3分の1以上が50代以上という。市は実技などを学ぶ水道技術研修所で技術の継承を進め、他自治体の参加も受け入れている。

 今月施行された改正水道法は、こうした状況の打開策として民間参入を促している。民間に業務委託することで、経営効率化や人材確保などが進むことを期待。自治体の財政負担は軽減され、質の高いサービスが維持できるとみる。

 ただ、先行する海外では民間参入後に、水道料金の高騰や経費削減による水質の低下を招き、再び公営に戻した事例が続出している。同法は付帯決議で、運営権の許可に当たって、自治体に公共性、公平性確保のための具体的な指標を示すよう求めているが、実効性は未知数だ。

 日本の水道普及率は約98%に達し、同法も今回の改正で目的自体が「水道の計画的整備」から「基盤強化」へと変わった。人口減に伴う水需要減少で経営が厳しさを増す中、水道事業をどう維持していくか、地方自治体の知恵が求められている。 (郷達也)

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