韓国、関係改善へ期待感 日韓首相、24日にも会談 「まず元徴用工」の日本とずれ

西日本新聞 総合面 塩入 雄一郎 池田 郷

 天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に合わせて来日する韓国の李洛淵(イナギョン)首相は24日にも安倍晋三首相と会談する。韓国国内では関係改善の好機との期待感もあるが、優先すべき課題の認識を巡って日本側とは温度差も目立つ。日本は昨年10月の韓国最高裁判決に端を発する元徴用工訴訟問題の解決を強く求めるのに対し、韓国は日本が7月に発動した輸出管理規制強化の撤回要求を最優先する構え。短時間とされる会談で双方の溝を埋めるのは容易ではない。

 韓国では有力紙が「今回の訪日が関係回復の最後の機会になり得る」と社説で指摘するなど、会談の行方が注目されている。18日までに共同通信の取材に応じた李氏は、文在寅(ムンジェイン)大統領の親書を携えて会談に臨む考えを示し「(訪日への)期待が大きすぎて夜眠れないほどだ」と話した。

 韓国で会談が重要視されるのは日韓関係の重要な節目が控えるためだ。11月下旬に日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)が失効。元徴用工訴訟では、賠償を命じられて差し押さえられた日本企業の資産が年内にも現金化される見通しだ。

 一方、日本側は「韓国の出方次第。ボールは向こうのコートにある」(外務省幹部)と冷ややかだ。安倍氏と李氏の会談は、あくまで即位礼正殿の儀のため来日する約50カ国・地域の要人と会う一環との位置付け。官邸筋は「それほど時間は割けない」と、期待値を高めないよう予防線を張る。

 そもそも両政府が描く問題解決への道筋は出発点から異なる。李氏は来日を前に、日本が輸出管理規制強化に踏み切った「7月以前に戻すよう願う」と強調。これに対し日本は、元徴用工への賠償問題を解決済みとした1965年の日韓請求権協定に基づき、韓国最高裁判決で生じた国際法違反の状態を是正するよう求めている。

 ただ日本側にも関係改善を望む事情はある。9月の訪日韓国人旅行者は前年同月比58・1%減と大幅に減少し、九州をはじめ地方の苦境は深刻だ。さらに北朝鮮が日本を射程とする弾道ミサイル発射を続けており、韓国のGSOMIA破棄は安全保障上の日米韓の連携に大きな懸念となる。

 「韓国側に賢明な対応を強く求める考え方に変わりはない」。菅義偉官房長官は日本側から譲歩しない考えを重ねて示しており、事態が動く気配は見えない。 (池田郷=ソウル、塩入雄一郎)

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