即位の礼 「令和」の精神を国内外へ

西日本新聞 オピニオン面

 天皇陛下が内外に即位を宣言される「即位礼正殿(せいでん)の儀」がきょう、皇居・宮殿で行われる。

 皇位継承に伴う中心儀式で、国内の各界代表に加え、190を超える国や国際機関の代表を招待している。元首級や王族も多数参列する見通しだ。

 現行憲法で「国民統合の象徴」と規定される天皇の地位や役割と、元号「令和」に込められた恒久平和の願いを、世界に改めて伝える好機である。

 新元号「令和」は、すべて物事を行うのによい月を意味する「令月」と、対立や乱が治まる「和らぐ」にちなむ。国民一人一人も、皇室や国のありように思いを致す一日としたい。

 今回の即位礼は平成をほぼ踏襲した形で行われる。戦前と通底し、神道の色合いも濃い。他の宗教関係者や専門家には、政教分離を定めた憲法下でふさわしいのか疑問を持つ人もいるだろう。そんな声も包み込みながら、あるべき皇室の姿を考える機会にもできるはずだ。

 天皇陛下は5月1日の即位以来、皇后陛下とともに公務に精励されている。8月に記録的な大雨に見舞われた佐賀県や台風15号で長期停電に陥った千葉県などに、宮内庁を通じてお見舞いの気持ちを表された。

 そうした中で今月、台風19号が甚大な被害をもたらし、正殿の儀に続き国民の祝福を受けるパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」は来月10日に延期された。政府は理由を被災地対応に万全を期すとしているが、両陛下のお気持ちにも添った判断なのだろう。

 平成の時代から、自然災害の活性期に入ったともいわれる。被災地に出向き、膝を折って被災者を励ます上皇ご夫妻の姿は象徴天皇制における皇室の具体像を描いた。弱者や恵まれない人々を中心に国民へ寄り添うという姿勢は、両陛下の心にも深く刻まれているはずだ。

 今後の皇室の重い課題として横たわるのは、皇位継承の安定性である。即位の礼が無事に終了すれば、政府は直ちに具体的な検討に入るべきだ。

 皇室典範は皇位継承を男系男子に限る。現時点で、陛下の子世代で皇位を継承できるのは秋篠宮家の長男悠(ひさ)仁(ひと)さまだけだ。一方、女性皇族は民間人と結婚した場合、皇籍を離脱する。

 一昨年成立した上皇さまの退位を実現する特例法には付帯決議がある。「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」や「女性宮家の創設等」について「先延ばしすることはできない重要な課題」と位置付けた。深刻な危機感が示されている。

 先延ばしできない課題であると同時に、国民的合意のために十分な議論も必要だ。政府には開かれた検討作業を望みたい。

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