1964年の東京五輪は気候を配慮して10月に開催された…

西日本新聞 オピニオン面

 1964年の東京五輪は気候を配慮して10月に開催された。真夏の東京は五輪競技に「適さない」と判断されたからだ

▼では、半世紀前より東京の暑さは和らいだのか。熱をためるアスファルトが地面を覆い、車や建物から大量の熱が排出される「ヒートアイランド現象」が進んでいる。地球温暖化の影響も

▼過去100年間の平均気温の上昇は、中小都市の1度に対し東京は3度。「東京の夏はますます暑くなっている」(東京都環境局)のだ

▼それなのに、この時期は「晴れる日が多く、且(か)つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と。2020年東京五輪の招致委員会が提出した「立候補ファイル」である

▼素人考えでも、真夏の都心でマラソンなど非常識だ。五輪誘致のためなら猛暑を温暖と言い換える厚かましさに驚く。国際オリンピック委員会(IOC)総会で、福島原発事故の影響を「状況は、統御されています(アンダーコントロール)」と断言した安倍晋三首相の演説にも重なる

▼やっぱりマラソンと競歩は札幌で、とIOCが言いだした。テレビ放映の都合で夏の開催を条件にしながら、何を今更。準備してきた東京都や観客も納得できまい。だが選手や観客の安全を考えれば、もっともでもある。そもそもがごまかしだったのだから、本来の「選手ファースト」に立ち返ってはどうか。

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