【ラガーマン記者が読み解くW杯】ゼロからラグビー(13) タックル 狙うは「体」か「ボール」か

西日本新聞 入江 剛史

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の準々決勝で、日本代表は20日、南アフリカ代表に敗れた。私も含め、スコットランド戦のように素早い連続攻撃を仕掛けてボールを保持して戦うという予測が多かったが、違った。日本代表は長いパスやキックで一気に外側のエリアへボールを運ぶ攻撃を選択した。

 南アのタックルの強さ、防御力をどうみるか-。日本代表の想定すらも上回る強さが、南アにはあったと思う。

 南アが最後にトライを奪った場面に、あの試合が凝縮されている。

 後半29分、中盤エリアでのラック(ボールが地面にある状態で敵味方が押し合う)から日本のバル・アサエリ愛選手がパスを受けて突進した。

 体重115キロのバル選手が一歩二歩と前に出るかと思われたが、南アは2人がかりで抱え込むようにタックル。その1人だったコリシ主将がバル選手の胸元辺りに手をねじ込むと、ボールがこぼれ落ちた。そのボールを別の南アの選手が拾い、一気に外に展開してトライを奪った。

 この抱え込むようなタックルは「チョークタックル」と呼ばれる。

 ルール上は、相手を倒すことがタックルだ。相手の太ももから腰付近に肩を当てて、相手の足を腕で絞め上げて倒す。

 だが、チョークタックルは違う。上半身を抱え込み、むしろ倒れることを相手に許さない。攻撃側は当たって寝てラックにすることで早くボールを動かしたいが、簡単に寝させてもらえない。そして、そのままボールを奪われそうになる。

 南アはチョークタックルが得意だ。密集の後方に防御ラインを横一列に敷き、攻撃側がボールを出すと、密集から遠い外側の選手が勢いよく飛び出す。内側より外側が前に出た防御ラインを作り、外にパスできないようにスペースを埋める。そして屈強なフォワード(FW)が待ち構える内側に相手を誘い込み、チョークタックルを見舞う。

 「世界最大」と称される体軀とパワーがあって、なせる技である。

    ◆    ◆

 この防御に、日本がどう対峙するかが焦点だった。

 密集からパスを受けたFWを突っ込ませ、すぐに2人目の選手がサポートして、素早く球を出し、連続して攻撃を仕掛ける戦い方がある。これを我慢強く続けることで、相手を疲れさせ、防御の出足を遅らせ、外側に空いたスペースをつくり、そこを攻める。

 しかし、日本はそうしなかった。スコットランドを超える南アの防御の強さから、素早い展開は難しいと想定したのか。それとも連戦の疲れもあって日本の方が負うダメージのが大きいと判断したのか。

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