「100均」スプレーでクローン生成 長崎南高科学部、世界大会で論文発表へ

西日本新聞 長崎・佐世保版 西田 昌矢

 植物の組織を培養し、同一の遺伝子を持つ「クローン」を生成できる安価で簡便な仕組みを長崎南高(長崎市)の科学部が編み出した。決め手は「100均」の除菌スプレー。これ1本で、数百万円はする装置を代用するものができた。「必要は発明の母」。生徒たちはことわざを深くかみしめている。

 「絶滅危惧種のナガサキギボウシを救いたい」。それが出発点だった。

 ユリ科のナガサキギボウシがシカの食害や宅地開発で個体数を減らしていることを知った部員たちは、「理科室でクローンが作れれば、高校生でも絶滅危惧種を救える」との思いで2016年に研究をスタートした。

 「壁」は高かった。カネだ。葉や茎の一部を切り取り、「カルス」と呼ばれる細胞の塊に成長させる過程では、無菌状態を約20日間維持しなければカビが発生してしまう。実際にクローンに成長させるには、さらに40日間を要する。ただ、無菌状態を作り出せる専門装置の価格は200万円。高校の部活動でひねり出せる金額ではない。

 そこで段ボールに目を付け、殺菌のため大学研究室で使われる次亜塩素酸ナトリウムを使ったが、費用不足で一時中断した。突破口を開いたのは顧問の土橋敬一教諭(53)。冗談半分で部員に100円の除菌スプレーを手渡した。すると不思議なことに、箱の中に4回ほど吹き付けてビニールで密封するだけで、高額な装置に匹敵する効果を確認できたという。

 卒業生から研究を引き継いだ2年の八幡紗矢さん(17)は再現実験を1年ほど繰り返し、この手法で確実にナガサキギボウシのクローンが作れることを証明。レタスやジャガイモでも成功した。

 成果論文は11月1日にシンガポールで開かれる中高生の科学論文の世界大会で八幡さんが発表する。八幡さんは「世界中で絶滅危惧種の保護に役立ててほしい」と話している。(西田昌矢)

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