水俣病伝える2体の地蔵 資料館企画展でトークイベント

西日本新聞 熊本版 村田 直隆

 水俣市と新潟県に立つ「お地蔵さん」を通して水俣病を考えるトークイベントが20日、水俣市立水俣病資料館であった。患者救済運動のリーダーで、地蔵を建立した故川本輝夫さんの長男愛一郎さん(61)と、新潟の地蔵を設置した旗野秀人さん(69)=同県阿賀野市=が、地蔵に込められた思いなどについて語った。

 同館が主催する企画展(12月15日まで)の関連イベント。同市で甘夏を栽培する高倉鼓子さん(32)が、川本さんの没後20年に当たることなどから企画した。

 旗野さんは1971年、東京のチッソ本社前で座り込みをしていた川本さんに出会った。川本さんから「ここに来なくても地元にいる新潟水俣病患者のために尽くしたらどうか」と促され新潟に帰郷。翌年、自分の住む地域から初めて認定患者が出たことがきっかけで患者救済運動を始めた。

 旗野さんは94年、東京で久々会った川本さんから地蔵建立の計画を聞き、新潟の阿賀野川の石を贈った。現在、チッソ水俣工場が排水を流した百間排水口前に鎮座している。

 対談で愛一郎さんは「(二度と同じ悲劇が起きないように)未来永劫(えいごう)見守ってくれという父の願いが込められていると思う」と語った。その上で「父は地蔵を88カ所につくり、一つ一つを巡ることで水俣病事件を学ぶ場にしたいと話していた」と明かした。

 新潟には98年、水俣川の石を使い、差別や偏見で分断された地域の再生を願い地蔵が安置された。旗野さんは、風化が進んでいるという認識を示し、「(地蔵が)小学生らが水俣病を学ぶ場所になっていることが、私の励みになっている」と話した。(村田直隆)

熊本県の天気予報

PR

熊本 アクセスランキング

PR

注目のテーマ