電事連新会長 原発巡る「不信」を晴らせ

西日本新聞 オピニオン面

 業界団体トップの交代を、原発事業全体に向けられた不信感を拭う機会とすべきだ。

 関西電力の役員らが高浜原発の地元、福井県高浜町の元助役(故人)から多額の金品を受け取っていた問題が発覚し、電力業界全体に疑問が突き付けられている。他の電力会社には類似の金品受領といった事実はないのか。「原発マネー」還流を巡る立地自治体との不透明な関係は関電だけなのか-。

 大手電力会社でつくる業界団体、電気事業連合会の会長に中部電力の勝野哲社長が復帰(18日付)した。2016年に関電の八木誠前会長から電事連会長ポストを引き継ぎ、今年6月に岩根茂樹社長にバトンを渡したばかりだが、岩根氏の辞任に伴い異例の再登板となった。

 勝野氏は就任の記者会見で「社会の信頼や期待を裏切った」と謝罪し、電気事業や原発に対する信頼回復に努めると繰り返した。

 電事連としては関電の問題を受け、企業倫理等委員会を設けて業界一丸となりコンプライアンス(法令順守)の徹底に取り組むという。だが勉強会のような取り組みでは間に合わない。信頼回復には、業界を挙げて、過去にさかのぼった徹底した調査が必要である。

 福島原発事故後、原発事業への国民的な不信感が根強い中、原発の再稼働を積極的に進めてきたのが関電だった。その関電が、原発の地元有力者に便宜を図り、役員らが常識外れの額の金品を受領していた。

 詳細な事実関係は、関電が設けた第三者委員会の調査結果を待つしかないが、こうした不透明な関係はかなり以前から続いていたことは確かなようだ。
 経済産業省は大手電力など12社に、関電と同種事案がないかの自主点検を要請し、各社は「ない」と報告した。ただ各社の調査の対象や手法はまちまちであり、これで疑念は全て晴れたと言えるものでは到底ない。

 中部電力は現役役員らに加えて、原子力部門の役員や部長は10年前の担当まで聞き取り調査を行った。これに比べ九州電力の調査は現役の役員や原発所長ら26人に限定している。池辺和弘社長は「過去もないと思っている」「経営資源は限られる」として、過去にさかのぼる調査には現時点で消極的だ。

 九電には、以前「やらせメール」問題を起こし、コンプライアンスには真剣に取り組んできたという自負があるのかもしれない。だが関電もコンプライアンスの徹底を掲げながら、今回の問題には適切に対応できなかった。電気料金を支払う利用者の信頼を保つためにも、九電には積極的な対応を求めたい。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ