ギュスターヴ・モロー展 福岡市美術館 潜む「物語」を読み解く

西日本新聞 もっと九州面 佐々木 直樹

 ギュスターヴ・モロー(1826~1898)の作品を前にすると、見ているというよりも「読んでいる」ような感覚に陥る。交錯する男女の視線、豪華な衣服や装飾品、異なる国や時代の様式が混交した建物-。さまざまなイメージがちりばめられた絵肌を丹念にたどっていくと、眼前にはない空想の物語が立ち上がってくるからだ。

 モローは心の内面にある世界に忠実であり続けた。作品は聖書や神話の物語に着想を得つつも、自在に想像力を飛び立たせて理想の美を画面に定着させている。「宿命の女」という主題で描かれたエウロペやデリラ、メッサリーナらは、彼が生涯を通じて追い求めた夢の女に他ならない。

 モローの想像力は、文学など異なる分野の表現者を刺激した。中でも、ユダヤの王女サロメを、斬首された洗礼者聖ヨハネの首の幻影を見るという独自解釈で描いた代表作「出現」は、後世に新たな悪女像が生まれる源泉となった。

 鑑賞方法は人それぞれだが、表層の美しさだけにとらわれることなく、モローの世界観に深く浸りながら、それぞれに物語を思い描いてみてほしい。

(文・佐々木直樹、写真・吉留常人)

 ▼ギュスターヴ・モロー展 11月24日(日)まで、福岡市中央区大濠公園の市美術館。副題は「サロメと宿命の女たち」。フランス象徴主義の画家モローが描いた女性像に焦点を当て、パリの国立ギュスターヴ・モロー美術館所蔵の油彩や水彩、素描など約100点を紹介する。一般1500円など。市美術館=092(714)6051。

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