古き良き日本を考える 地元ゆかり「サザエさん」題材 西南学院大でシンポジウム

西日本新聞 ふくおか都市圏版 下村 佳史

 漫画「サザエさん」の作品を通して1964年の東京五輪が開催されたころの「古き良き日本社会」をテーマにしたシンポジウムが福岡市早良区の西南学院大で行われた。留学生を含む学生らがそれぞれの視点で、半世紀前の漫画を読み解き、現代の社会や家族の在り方について考えた。

 同大近くには、漫画の原作者、故長谷川町子さんが散歩しながら登場人物を発案した百道の旧海岸線があり、サザエさんを生かしたまちづくりの一環。同大と早良区役所が14日に開催し、市民ら約180人が聞き入った。

 シンポでは、長谷川町子美術館(東京)の川口淳二館長と橋本野乃子副館長、同大の池澤明子講師に加え、日本人学生と米国、中国の留学生も登壇。文学部3年の山内七海さんは、漫画に登場するサザエさん一家の家の間取りに着目。座敷外側の縁側が家族の集う大事な場所として描かれ、ふすまなどの引き戸は開け放すことができ「家族が互いに気配を感じられる」と指摘。コミュニケーションを大事にする家族像を読み取る一方で、プライベート空間が少ない点に目を向け「これからの時代は多様性を認め合うことが求められている」と主張した。

 米国人留学生のベンジャミン・サイプルさんは、日米での夫婦げんかの違いを取り上げた。サザエさんでは「夫婦は同じチームとして協力し合っている。意見が違っても話し合いをし、最後は折り合いをつける」と説明。一方、米国では「自分の考えを押し通すことが大切とされるため、言い争って、どちらかの意見が正しいという結果になる」と話し、社会でも同様の違いがあることを述べた。

 中国人留学生の朱静静さんと張暁〓さんは日中の教育観の相違点を取り上げた。半世紀前のサザエさんでは「成績が悪くても、家族にとって大きな問題ではなく、子どもの生き方や道徳を重視していた」と分析。中国では「親が『成績イコール子どもの未来』と考え、小学生から激しい競争の中で生きている」と現状を語った。

 橋本副館長は、学生たちの発表を受け、半世紀前の日本と現在の違いに触れながら、サザエさんを通して日本社会の移り変わりを追っていけることを説明。川口館長は「国際化社会の中でサザエさんを考えてみないといけないと感じさせられた。これからも、いろんな観点で作品を掘り起こしていきたい」と締めくくった。 (下村佳史)

※〓は「金ヘン」に「玉」

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