ラグビーW杯、九州「特需」沸いた 訪日客続々、桜咲く 誘導、もてなし課題も

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で、試合会場となった九州の3都市では、大挙して訪れたファンの対応に追われトラブルも一部であったが、無事終わったことに関係者はほっと胸をなで下ろした。

 ファンたちの受け皿になったのが、開催都市に設けられたパブリックビューイング(PV)会場のファンゾーン。福岡市のJR博多駅前は8日間開設し、度々入場規制が敷かれるほどの盛況ぶりだった。官民でつくる福岡開催推進委員会は、日本戦では、市内の公園もPV会場にして対応。試合中に大型ビジョンの映像が止まる場面もあり、担当者が冷や汗をかいた。

 福岡市の試合会場周辺では、試合後、約130人の警備員らが徒歩で最寄り駅に向かう観客を大通りへと誘導。それをかいくぐって住宅地内に入り込む人もいて、安全に配慮した誘導という面では課題となった。

 熊本市の中心市街地に開設されたファンゾーン。「本当に人が来るのか」との関係者の懸念をよそに、日本戦ではキックオフ前から収容人数(3500人)の倍近くが来場。あふれたファンから不満の声が上がる一幕も。

 関係者をやきもきさせたのが会場周辺の交通渋滞だ。準々決勝を含む5試合があった大分市では、試合初日こそ最大2・3キロの渋滞が出たが、その後改善した。マイカー利用抑制の呼び掛けなどが効いたという。

 大分県の広瀬勝貞知事は24日の記者会見で「無事に、予想以上に大盛況のうちに終わることができた」と総括。課題としては「われわれのおもてなしと客のニーズに違い、ずれが多かったように思う」と述べた。外国人客のニーズについてホテルや観光施設などに聞き取りし、今後の観光施策に生かす考えだ。 (坂本公司、長田健吾、岩谷瞬)

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 日本代表の8強入りで列島が熱狂に包まれたラグビーワールドカップ(W杯)日本大会も準決勝など4試合を残すのみ。計10試合を開催した福岡、熊本、大分の九州3県には、欧米やオセアニアなど出場国の多くのファンが訪れ、飲食店や観光業界、スポンサー企業は「特需」に沸いた。

 「いやぁ、想定外の盛り上がりでした」と声を弾ませるのは福岡市の商業施設「博多リバレインモール」にある英国パブ「モーリスヒッポ」の手嶋優也店長。W杯が開幕してから、客足が開幕前の約3倍に急増。ビールの売り上げは6~7倍になった。準々決勝の日本対南アフリカ戦の日は、店に人が入りきれないほどの盛況だった。

 ビール業界ではW杯スポンサーの「ハイネケン」が好調。日本国内で製造・販売するキリンビールによると、ハイネケンの九州・沖縄での売上高は、10月1~18日で前年同期の3倍。試合会場やファンゾーンで独占販売できるのも大きいが、キリンビール九州統括本部は「外国人客が宿泊するホテルや飲食店でも相当の消費があった」とみる。

 海外から来たファンたちは各地の観光も楽しんだ。温泉地として海外客の知名度も高い大分県別府市では、試合前や当日に宿泊施設がほぼ満室に。強豪国のキャンプ地に選ばれたこともあり、人気観光地の「地獄めぐり」の人出も増えた。別府地獄組合の高橋康也業務課長は「欧州やオセアニアの観光客を見ない日はなかった」と振り返る。

 福岡市のJR博多駅前にあるANAクラウンプラザホテル福岡は、ふだんは欧米系の宿泊客は全体の5%ほどというが、「大会期間中は半分を占める日もあった」。福岡を拠点に熊本や大分の試合に足を延ばすファンも目立ったという。

 初めて公式スポンサーになったTOTO(北九州市)は、試合会場などでトイレを改装し、最新の温水洗浄便座(ウォシュレット)を設置した。フランスの放送局は電子版で「世界チャンピオンのトイレ」と多機能ぶりを紹介。英BBC放送(電子版)も「衝撃のハイテクトイレ体験」との見出しで温水洗浄便座の利用方法を伝えるなど、高い技術力が話題を集めた。

 日本政策投資銀行九州支店(福岡市)は、2015年に九州での経済波及効果を350億円と予測するリポートを発表。ただ、日本代表の快進撃などで大会は予想以上の盛況ぶりで、担当者は「波及効果はもっと拡大した可能性がある」としている。 (布谷真基、仲山美葵)

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