弾劾調査、守勢のトランプ氏 ウクライナ疑惑 与党の造反恐れ引き締め

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 トランプ米大統領が、ウクライナ疑惑を巡る弾劾調査へのいら立ちを強めている。1カ月前に野党民主党が多数を握る議会下院が調査を開始後、トランプ氏がウクライナ側に圧力をかけたことを裏付けるような証言が続出。与党共和党内にも疑惑を深刻に受け止める空気が広がりつつある。下院による弾劾訴追の年内可決がささやかれる中、トランプ氏は上院の弾劾裁判で共和党から造反者が出ないよう引き締めに躍起となるなど守勢が目立つ。

 「史上最大の魔女狩りに立ち向かう共和党の下院議員たち、ありがとう」。トランプ氏は24日のツイッターで、23日に疑惑調査に絡む国防総省高官の証言を非公開で始めようとした下院委員会に抗議し、傍聴を求めて約5時間にわたって立てこもった議員たちを称賛した。一方、23日には自身に批判的な同党上院議員を「民主党議員よりも危険。人間のくずだ」と非難するツイートを投稿した。

 与党向けの発信を繰り返すのは、下院の調査に新旧の政府高官が協力し、トランプ氏に不利な証言が相次いでいることへの危機感の表れだ。自身の大統領再選のために外交を私物化したと民主党が批判を強める中、共和党内にもトランプ氏に疑問を呈する声が上がり始めている。

 とはいえ、そうした声はまだ少数だ。大統領の罷免を決める弾劾裁判は共和党が過半数を占める上院で開かれ、賛成票が罷免に必要な3分の2を上回るのは困難な情勢だ。ただ「匿名で本音を問えば3分の2以上が賛成するだろう」と指摘する共和党関係者もいる。

 トランプ氏は上院の共和党有力議員に接触し、造反者が出ないようくぎを刺していると報じられる。また、南部など共和党の地盤での遊説を増やし、支持者に直接「無実」を語りかける動きも強めている。

 しかし、政権の意に反して下院で証言する政府高官らは今後も続くとみられ、事態の急展開に手をこまねいているのが実情。共和党内には後手に回る対応ぶりにも「戦略不足」との不満がくすぶっている。 (ワシントン田中伸幸)

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