菅原経産相辞任 閣僚の資格があったのか

西日本新聞 オピニオン面

 そもそも閣僚にふさわしい政治家だったのか。数々の疑惑を巡る本人の説明責任はもとより、初入閣ながら経済産業相の要職に起用した安倍晋三首相の任命責任を厳しく問いたい。

 菅原一秀経済産業相(衆院東京9区)がきのう、辞任した。選挙区内でメロンなどを配っていた疑惑を国会で追及されている最中に、今度は秘書が有権者に香典を渡した公選法違反の疑いが週刊誌で報道された。

 野党の批判にとどまらず、政権内からも辞任論が噴き出した経緯を踏まえれば、事実上の更迭といえるだろう。

 「安定と挑戦」を掲げて第4次安倍再改造内閣が発足したのは先月11日だった。それからわずか1カ月半で主要閣僚の一人が辞任に追い込まれる異常事態である。

 首相は巨大与党の自民党を「人材の宝庫」と形容し、組閣や改造のたびに「適材適所」の人事と自画自賛してきた。

 しかし、政権を奪還した第2次安倍内閣以降だけでも閣僚の辞任は菅原氏で9人目だ。各省庁の政策課題に対応した経験と能力を備える人材が適切に登用されているのか。長期政権の緩みやおごりはないのか。

 首相は「任命責任は私にある」と国民に陳謝したが、今回の閣僚辞任を契機に政権はたがを締め直すべきである。

 菅原氏を巡る一連の疑惑とは、政治家は選挙区の有権者らに金銭や物品を提供してはならない-と定めた公選法の原則に反するものである。

 菅原氏の元秘書の証言によると、菅原氏は2006~07年に、有権者200人以上の住所や氏名とメロンやカニなど具体的な贈答品を記入したリストの作成を指示していた。

 国会でこの疑惑を指摘されると「昔のことで認識はない」など曖昧な答弁を繰り返していた。秘書が有権者に香典を渡したとの報道は事実と認めた。

 閣僚の資質を問う以前の、国会議員としての常識を疑わせる問題と言わざるを得ない。

 納得できないのは菅原氏が疑惑に対する詳細な説明を尽くしていないことだ。菅原氏が「私の問題で国会審議が停滞するのは本意ではない」と国会空転の回避を辞任の理由としているのも理解に苦しむ。

 経産省は関西電力役員らの不明朗な金品受領問題などを抱えており、閣僚交代に伴う混乱は避ける必要がある。

 菅原氏が「国会で説明する」としていた昨日の衆院経済産業委員会は開かれなかった。野党は国会で説明するよう求めている。当然だ。説明責任を果たすよう菅原氏に促すのも、任命した首相の責任ではないか。

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