親子2代でオイスカ研修 国際色豊かな仲間と学ぶ スリランカ人 ワサナ・タクシラ・ナディーシャニさん

西日本新聞 ふくおか都市圏版 下村 佳史

 「日本人は温かい」。若いころに日本で農業研修した父親から繰り返し聞いたその言葉をかみしめながら、今、福岡市早良区小笠木の公益財団法人オイスカ西日本研修センターで、環境保全型農業を学んでいる女性がいる。今年4月、さまざまな国からやって来た仲間と共同生活を始め、アジア・太平洋地域の国々で地域開発を進めるリーダー育成の研修中だ。日々の課題に向き合いながらも、彼女から和やかな笑顔が絶えることはない。

 スリランカ中部のキャンディ郊外出身の21歳。姓は長いため、普段は通称のワサナで通す。名前はタクシラ・ナディーシャニさん。同じくオイスカで農業を学んだ父親のN・ジャヤマンネさん(54)は四国研修センター(香川県)のOB。帰国後は学校単位で植林活動を行うオイスカの「子供の森」計画に参加し講師を務めている。

 ワサナさんは、母国の大学に合格し政治学を学ぶ予定だったが、同国の研修センターから訪日研修生になることを勧められたという。「大学は受け直せるが、個人の経済力で日本留学はとても無理。日本で学ぶ絶好の機会を逃したくなかった」。父の言葉が背中を押した。

 西日本研修センターには本年度、家政研修などを含め東南アジアを中心に10カ国1地域から19人が集った。スリランカからはただ1人。農業研修の期間は1年間。言葉や宗教、育った風土も違う仲間と手探りの生活が始まった。

 最初の2カ月は1日7時間の日本語の授業を受け、研修生たちは日常会話ができるまでになった。6月からは有機農法の指導を受け、野菜栽培や堆肥づくりに汗を流している。地域との交流活動もある。地元小学生と田植えをしたり、熊本地震の被災地に出向いてボランティアで畑作の手伝いをしたりした。

 思い出深いのは、7月下旬にセンターであった「地球体験村」。福岡市などの小中高校生と2泊3日を過ごす催しで、母国の民族舞踊を一緒に練習して発表したり、出身地の写真を見せて古里自慢をしたりした。「日本の子供たちはよく話を聞いて思いやりがある。だから、国全体が平和なのだと思います」

 センターで生活して半年余り。研修生は家族のような仲間意識で結ばれている。ラグビーが盛んなフィジー出身の研修生の呼びかけで、ルールを知らない人も一緒にワールドカップをテレビ観戦し、日本語で声援を送って盛り上がった。「お互いの国についてもよく話します。モンゴルの研修生から聞いた大草原の冬景色が強く印象に残り、いつか訪ねてみたいと思います」

 研修は来年3月まで。帰国後は大学入学に向け再び準備をするが、日本での研修を目指す後輩に日本語を教え、オイスカでの体験を語りたいとも考えている。「いろんな国の若者が、さまざまな違いを乗り越え、助け合って生きていく。研修生のつながりで得た経験をスリランカの若者に伝えたい」 (下村佳史)

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