「虎刈り」で里山再生 草刈り2メートルおき、生物多様性増す 直方の市民ら

西日本新聞 筑豊版 安部 裕視

 直方市上頓野の金剛山麓で里山の再生・保全活動を続ける市民グループ「金剛山もととり保全協議会」(田丸憲剛会長)メンバーが、生物多様性を意識した草刈りに挑戦している。全部を刈らないユニークな「虎刈り」方式を導入したことで、「虫が増え、それらを捕食する鳥や小動物が増えた。山に生き物が戻った」とリーダーの清野(せいの)重秋さん(67)は成果を語る。

 草刈りは、斜面で刈り込む部分と刈らずに残す部分とを約2メートルの幅で交互に設ける。適度な樹木の間伐によって光が差し、生えた下草を一昨年から、その「虎刈り」方式で刈るようになったことが奏功したとみられ、荒れていた里山が様変わりした。「山の保水力が上がり、土の状態もいい。キツネやコジュケイ、ニホンアカガエルなど、以前は見られなかった生き物もいる」と清野さん。

 「虎刈り」方式を始めたのは、全体を等しく刈り込んでいた当時、虫が姿を消したことに気付いたのがきっかけだ。生き物の再来と食物連鎖をつくり出したその成果を、専門家も注目しているという。

 一帯は戦後に地元住民らによって開拓が行われ、1970年代に持ち上がったゴルフ場計画が頓挫した後、放置された。

 2010年に同協議会が発足し、荒れ放題になっていたゴルフ場予定地12ヘクタールを含む市有地の山林を借り受けて切り開き、間伐やモミジ、桜などの植樹、アジサイ園の整備などを進めてきた。

 山と川の関連を重視し、子どもたちの遠賀川への愛着と環境を守る意識を育んでいるNPO法人「直方川づくりの会」が野外学習する現場でもある。23日に訪れた同会の高橋幸子さん(75)は「草のある所、ない所と環境の多様性が生き物の多様性につながる。子どもたちも関心を持って里山を楽しんでいる」と話す。

 清野さんは「他の地域でも同じやり方が広がれば、生き物に優しい里山の管理ができるのではないか」と提案する。「来年5月ごろには栗や山桜を植える予定。先々には人が常に入ってこられるような里山にしたい」と将来像を描きながら「草刈りや間伐に携わるメンバー13人の平均年齢は74歳。山を守っていくために後継者がほしい」と課題も明かした。(安部裕視)

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