駅前コンテナ店、独立開業が鍵 吉富町整備「女性集客のまち」 町内での定着なるか

西日本新聞 北九州版 浜口 妙華

 JR吉富駅(吉富町広津)の前に町が整備した貸店舗のコンテナショップ「エリア44103(よしとみ)」が1号店開業から3年半たった。「女性集客のまち」をコンセプトに、コンテナをおしゃれに改造した白い店舗が3軒並ぶ。入居する弁当、アクセサリー、総菜店は人気だが、入居期限があり、独立後に町内で開業するかは未定。さらに国の交付金が来年度で切れるため、町の事業としてどう継続し広げていくか、工夫が必要になりそうだ。

 弁当店とカフェを一体化した「デリカフェ リーベ」は、入居1号店が独立後、3月にオープンした。家賃は破格の月額5千円。大分県中津市在住の店長、四井梓さん(26)は「飲食店で働いていて、自分の店を持ちたいと思っていたけれど、資金がなかった。ネットでこの情報を知り、夢をかなえられた」と笑顔を見せる。

 人気のハンバーグなど弁当3種を数量限定で販売。女性好みの野菜たっぷり、盛り付けにも凝っている。写真共有アプリ「インスタグラム」でかわいいと評判になり、客は8割が女性。弁当は昼すぎには売り切れるほどだ。中津市から県境を越えて来店していた主婦塩田亜弥芽さん(26)は「週1回は来ている。おいしくて箸が進む」と絶賛する。

 運営に手応えを感じる四井さんだが、心配もある。入居期限は3年、いずれ独立するしかない。「独立できたら夜にも販売をしたい。ランチは町内でもできるけれど、夜だと閑散としていて…」。独立後の自信はまだ持てないという。

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 九州一小さな町として知られる町は、面積5・72平方キロ。駅周辺の半径400メートルの中に役場や体育館、文化施設などが集中、コンパクトな町としての利点を生かしてきた。

 だが人口は1980年の7749人をピークに年々減少し、9月末現在で6794人。高齢化率も31・15%と高く、商店が閉店するなど町の活力は右肩下がりだ。町は2012年から2年かけて駅周辺の道路や駐車場を整備。さらに駅前の商業機能を高めようと15年、地方創生の交付金を活用して「チャレンジショップ事業」を始めた。

 女性をターゲットにした理由は「流行を発信するのは女性ですから」と、事業主体の町産業建設課、川口彩さん(35)。

 店舗面積は15、30平方メートルの2種類、家賃は月5千円と1万円。これまで4年間で計4千万円を投じた。うち3300万円が交付金だ。最長3年の入居期限後、町内で開店すれば町が200万円を提供し、店舗の定着を図る支援策も用意している。

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 16年4月に開業した入居1号の菓子店「アンドカフェ」は、18年11月に駅近くの空き倉庫を改装して独立した。店長の野上彩さん(34)は上毛町に住んでいたが「常連のお客さんが来やすいように町内に出店した。コンパクトな町なので子育てもしやすいし」と住居も移した。

 1号店の定住には成功したが、これまで入居時に独立場所の条件はなかった。次の店が後を追う保証はなく、店が入れ替わるだけで広がりがなければ「交付金を使って種をまき続けている状態」(町企画財政課)が続く。

 頼みの交付金は20年度が最後。1年半後には町の事業そのものが“独立”を迫られる。町は100%出資の民間会社を設立して事業を引き継ぐ方針で、社長の募集を始めた。ただ、町の出資とはいえ民間となれば、利益も必要だ。種まき段階から、どうやって次のステップに移行させるか-。小さな町の挑戦が続く。 (浜口妙華)

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