釜山(韓国) 身近な異国 ロマン満喫

西日本新聞 夕刊 布谷 真基

 九州、特に福岡の人にとって最も身近な海外旅行先の一つが韓国・釜山だろう。それでも日韓関係の冷え込みで人の往来は停滞し、航空便も減っているのが現実。旅先では「こんな時だからこそもっと交流を」との声が多く聞かれた。1泊2日でも十分に楽しめる隣国の魅力を知るためにぶらりと出かけた。

 最初に向かったのは魚介類を扱うチャガルチ市場。九州でもなじみ深いサバやイシモチ、カニが豪快に盛られた中で、ひときわ目を引いていたのは、輝くように美しく並んでいたタチウオ。「煮ても焼いてもおいしいよ」。威勢のいい市場の女性たちはおそらく、そんなことを言っている。実は韓国語は分からない。

 ぶらぶら歩くうちにショッピング客でにぎわう国際市場にたどりついた。土産物店が多いエリアには日本人が集まるそうで、もちろん釜山の若い世代が中心。洋服店やカフェが並んでいるしゃれた通りの真ん中には海鮮系チヂミを焼く屋台がずらり。漂う香りに食欲をかきたてられる。揚げかまぼこなどを煮込んだ「おでん」もあった。

 海の恵みを体感したところで訪れたのは松島。2017年6月にできたという「松島ケーブルカー」は、海上を駆け抜けるように通るロープウエーだ。通常のキャビンだけでなく、床が透明の機種もあった。追加料金として5千ウォン(約460円)が必要だったが、旅先でケチっていてはつまらない。迷うことなくスケルトン仕様を選んだ。

 潮風が心地よい。鳥になった気分でたどりついた到着地点には公園が整備されていて、実物大の動く恐竜像がお出迎え。「昔はここに恐竜たちがたくさん暮らしていたんだよ」。中国人ファミリーの父親が娘にそう言い聞かせていたが、真偽は不明。ただ、同じ沿岸部の固城という町には恐竜の多数の足跡が化石となって残っている。何ともロマンあふれる地域だ。

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 翌日に訪れたのは「SNS映え」で人気が急上昇中という甘川文化村。元は1950年代の朝鮮戦争に伴って避難してきた人たちが住みついた地域で、小高い斜面地に小さな家々が規則正しく密集している。外壁や屋根がピンクや水色のパステルカラーで彩られ、まるでファンタジーの世界に迷い込んだような感覚になる。

 カメラを手に、絶好の撮影場所を探す。家と家の間にある狭い通路で迷っていると、白いタンクトップ姿の地元のおじさんから怒鳴られた。急速に観光地化され、多くの人が訪れるようになり、住民の生活に影響が出ているのが地域課題らしい。「ミアナムニダ」。覚えたての韓国語で謝ると、おじさんはニヤリと笑みを返してくれた。「そっちだよ」。車道への出口を指さして案内してくれた。

 実はひそかな旅の目的に「カジノ」があった。統合型リゾート施設(IR)の整備が日本国内でも議論されているからだ。前夜に訪れたロッテホテル釜山内の「セブンラックカジノ」は外国人専用。ルーレットやカードゲーム、スロットに興じる人でにぎわっていた。私も手持ちのウォンで参戦したがあえなく惨敗。1回当たり十数万円単位を投じる「富裕層」がまぶしく見えた。 (布谷真基)

 ●メモ
 福岡空港から釜山(金海国際空港)へは、格安航空会社(LCC)エアプサンを含む直行便が就航しており、飛行時間は1時間ほど。JR九州高速船のビートルだと博多港から3時間余りで到着する。古来、日本と朝鮮半島とを結ぶ要衝として栄えた港湾都市で、人口約350万人を抱える。日系のホテルもある。

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