他の誰にもできない表現が生まれる時 福岡市・アトリエブラヴォ <連載>チャレンジド×アート(1)

西日本新聞 黒田 加那

 福岡空港から車で約10分、博多の森陸上競技場にほど近い住宅街に2002年にできた「アトリエブラヴォ」(福岡市博多区)。おじゃますると、11人が思い思いに絵を描いていた。

 昨年から通い始めたばかりという田中睦師さん(22)が描く絵に、思わず「きれい」と声が出た。赤く色づいたモミジが目を引く。何十色もの透明水彩絵の具を使い、パレットで混色したり何回も塗り重ねたり。そうして生まれたにじみやムラが、本物の紅葉のような美しいグラデーションをつくる。

 今はもう走っていないという西日本鉄道の特急列車が走り、その光景を眺めたり写真に収めたりしているオリジナルキャラクターも描かれている。「青い髪のキャラは電車オタク、緑色の髪のキャラは昆虫マニアという設定」と田中さん。


得意の繊細なタッチを生かし、紅葉の風景を描き出す田中睦師さん

 

 キャラクターたちはカメラマンで、九州を旅しているという設定だ。キャラクターが好きなものは、田中さんが幼いころから好きだったもの。自身を投影している部分があるといい、同じキャラクターが田中さんの多くの作品に登場する。

田中さんの作品「21歳の自由な旅路」はジーンズのリアルな質感が印象的

 アニメや漫画が好きで、人気漫画「デスノート」などで知られる漫画家、小畑健さんに大きな影響を受けたという。作品「21歳の自由な旅路」は人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズを意識した。アトリエブラヴォで手掛ける作品は繊細な線や色使いで表現したほのぼのとした作風が多いが、家で描く時はダークな世界観の作品も多いという。

田中さんの作品「紫陽花となら」は鮮やかな色使いながら、優しい印象の一枚

 

 「絵を描くことで自分の何かしらを表現できる。好きだからこそ、絵に思いがこもる」。田中さんにとって、幼い頃から絵を描くことはライフワークだ。

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 大量のアクリル絵の具をこんもりとパレットに乗せ、無心に筆を走らせている近良輔さん(38)が目に入った。


絵の具が飛び散ることも気にせず、無心に塗り重ねていく近良輔さん

 近さんが好んで描くテーマは、自然や動物、故郷静岡出身の偉人、徳川家康など。近さんの作品を見せてもらうと、全体としてグレーがかっているのが特徴だと感じた。

近さんの作品「牛の三匹」は持ち味の暗い色調が牛を際立たせている

 

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