高齢者の買い物支え奮闘 女性2人経営「せちばるストアー」 新鮮野菜や総菜など販売

西日本新聞 長崎・佐世保版 前田 隆夫

 70代の女性2人が共同経営する食料品店がこの夏、佐世保市世知原町に開店した。近くにあった食料品店が相次いで閉店。歩いて買い物ができる店を失い、途方に暮れる高齢者を見て、2人は一念発起した。「助かった」「ありがとう」。買い物客の感謝の言葉が、地域になくてはならない店であることを物語る。

 人口約3200人の世知原町の中心部。「せちばるストアー」は午前10時の開店前から買い物客が引きも切らない。入り口に近い丸テーブルには野菜や果物、奥の丸テーブルには手作りの総菜。壁に沿って豆腐、鮮魚や精肉、菓子が並ぶ。

 「思ったよりも多くのお客さんに利用いただいている。野菜が新しく、きれいで安いと評判で」。開店からもうすぐ3カ月。代表の西山寛子さん(73)は滑りだしに手応えを感じている。

 県道を挟んで向かいにあったJAストアが4年前に営業をやめ、後継の食料品店も7月に閉店。車を運転しない高齢者にとって、最寄りのスーパーに行くのは本数が少ないバスが頼り。困っている様子を見て、西山さんはいてもたってもいられなくなった。

 世知原町内で総菜店を営む山本照江さん(71)に打ち明けると、思いは同じだった。自分たちで店を始めよう。赤字覚悟で頑張ろう-。

 西山さんは農家で商売の経験がない。人口が減り、店の経営が難しくなった地域だけに、周囲は「借金が増えるだけだ」と止めた。それでも佐世保市北部商工会から助言を受け、私費300万円を投じ、JAの倉庫を店舗(約60平方メートル)に改修した。

 短い準備期間を経て、8月に開店。小銭と一緒に感謝の言葉を受け取る。西山さんらに手を合わせる高齢者もいる。「うちから歩ける距離なので、足らん物があったらさっと買いに行ける」。80代の女性は「本当に助かっている」と話す。

 営業は午後5時まで。商品は店の買い取りにせず、売れ残ったら出品者が引き取る仕組み。「野菜は町内や隣の吉井町で作った物ばかり。なくなったら、仲間が電話一本で持ってきてくれる」と西山さん。地域で長く築いてきた人間関係が店の礎だ。

 「どうしよる」「座ってお茶でも飲まない」。店内は会話が弾む。「ただ物を売る場所ではないようにしたい」(山本さん)と、サロンのような場所を店の一角につくる計画も進む。

 人と人とのつながりが小さな店を支え、小さな町の暮らしを支えている。(前田隆夫)

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