被爆者の声を集め50年 長崎の証言の会 高齢化で取材に難しさも

西日本新聞 長崎・佐世保版 華山 哲幸

 被爆証言の聞き取りを続ける長崎市の市民団体「長崎の証言の会」は、「証言2019 ナガサキ・ヒロシマの声」を発刊した。被爆者の高齢化によって証言を聞く機会が年々少なくなる中、創刊50年目を迎える今年は12人の被爆体験を載せた。25日、同市役所で記者会見した森口貢事務局長(83)は「核兵器の怖さ、すさまじさを伝えるために今後も声を集め続けたい」と語った。

 同会は1969年、被爆の実相を後世に残すことを目的に証言集を創刊。これまで70冊超を発行し、2千編以上の被爆者の声を掲載してきた。ただ、被爆者の平均年齢は82歳を超え、長崎市内の被爆者健康手帳所持者は3万人を切った。創刊当初は数え切れない人から声が届いていたが、近年は証言者探しに苦労しているという。以前掲載した体験を再び載せるケースもある。

 証言を寄せた一人、同市の多田富子さん(79)は、5歳のころに爆心地から2・6キロの自宅で被爆。一瞬で閃光と爆発音が広がった投下直後のようすや、自宅近くの諏訪神社境内に数多くの遺体が横たわる光景などを振り返った。

 今回、特集のテーマを「長崎と戦争・軍隊」とした。長崎がアジアに近い地理的要因から戦時の前線補給基地になったことなどを複数の有識者が論じている。山口響編集長は、来年の被爆75年を前に「なぜ原爆が投下されるに至ったかを考えるため、長崎の歴史を問い直したい」としている。

 A5判266ページ、2100円(税込み)。創刊50年を記念した集会を12月15日に長崎市内で開くことも発表した。長崎の証言の会=095(848)6879。(華山哲幸)

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