ファン必見の縄文遺物 大野城心のふるさと館で「王国やまなし」展 九州国博と合同企画

西日本新聞 ふくおか都市圏版 南里 義則

 縄文ファン必見の特別展「縄文王国やまなし」が29日、大野城市曙町の「大野城心のふるさと館」などで始まる。1万年以上続き、各地で独特な文化が生まれた縄文時代。とりわけ地理的に日本の中心部である山梨県など中部高地では、自然と共生した縄文人の精神世界を表すような土偶や装飾文様の土器が数多く残されている。九州国立博物館(太宰府市)との合同企画で、それらの遺物を展示する。

 大野城市にも縄文時代の遺跡はある。同館周辺の「石勺(こくじゃく)遺跡」は縄文晩期-江戸時代の遺跡だ。だが、縄文時代の遺物は少ない。

 「北部九州は、その後の弥生時代に比べて縄文遺跡が目立たず、呪術的な土製人形の土偶なども少ない。縄文時代中期に栄えた土器文化の中心地とされるのは八ヶ岳(やつがたけ)山麓(山梨県、長野県)など中部高地です。北部九州の縄文人はそれほど『祈り』を必要としなかったからなのでしょうか」と赤司善彦同館館長は首をかしげる。

 「祈りは日常の不安が深ければ深いほど必要とされるのでは」とした上で、赤司館長は想像力豊かに遺物を見ることを勧める。例えば、炎が燃え立つような造形が特徴の「火焔(かえん)型土器」の文様にはどんな祈りが込められたのだろうか、と。

 今回展示しているのは、深鉢形土器(山梨県南アルプス市教委)、釣手土器(同釈迦堂遺跡博物館)など計41点。それぞれ土器の表面に、細部にこだわった文様が施されている。

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 文様を楽しんでもらうため、同館は斬新なアイデアを取り入れた。部屋を薄暗くし、各入館者に懐中電灯を渡して自分で光を当てて観察してもらうのだ。

 土器にはヒトやヘビなどの動物が細いひも状の粘土で貼り付けられたり、ササなどをペンのように使って描かれたりしたものがある。さまざまな角度から光を当てることで、通常と違う文様の見え方を体験できる。

 縄文土器に「美」を見いだしたのは画家の故岡本太郎氏だった。北九州出身の詩人、故宗左近氏は岡本著の「縄文土器論」に触発され、縄文人の心と造形に深く傾倒し、詩作「縄文シリーズ」をライフワークにしたという。

 会場では地元美術協会会員の協力で土器の文様や造形とイメージの合う絵や書、写真も展示している。「縄文土器と現代作家とのアートの融合ですよ」と赤司館長。

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 同館と九州国立博物館との合同開催は初めて。図録も合同で作った(展示物はそれぞれ別)。九博も同会期に4階文化交流展示室で「縄文王国やまなし」の特集展示を行う。水煙文(すいえんもん)土器や土偶など計68点を展示。両会場とも一般は有料、会期は12月22日まで。 (南里義則)

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