水俣の教訓、国境超えて 坂本しのぶさん、韓国の殺菌剤被害者と再会

西日本新聞 社会面 池田 郷

 【ソウル池田郷】公害や労働災害についての国際シンポジウムが28日、韓国ソウルで開かれ、胎児性水俣病患者の坂本しのぶさん(63)=熊本県水俣市=が演説した。シンポには韓国で起きた加湿器用殺菌剤が原因の健康被害に苦しむ趙淳美(チョスンミ)さん(50)も登壇。趙さんは今年2月に水俣市を訪れ、坂本さんや13日に死去した母フジエさん(享年94)と交流した。再会を喜んだ2人はフジエさんをしのびながら、息長く活動を続けることを誓い合った。

 「スウェーデンでお母さんはこう言いました。『この子を見てください』と。全世界に水俣病を知ってもらうためでした」。坂本さんは演説で、1972年に第1回国連人間環境会議が開かれたスウェーデンで、悲痛な思いを訴えたフジエさんを振り返った。

 趙さんは演説を聞きながら、2月に言葉を交わしたフジエさんを思い浮かべた。「人生に起きたことの全てを受け入れた人のどっしりとしたオーラを感じた」

 ソウルに住む趙さんは2009年、肺の機能が急激に低下する症状に襲われた。後に韓国製の加湿器用殺菌剤が原因と判明したが、現在も携帯型の酸素吸入器が24時間手放せない。

 趙さんはこの日のシンポで、11年まで販売された殺菌剤による健康被害を報告。韓国政府によると、重度のぜんそくなど被害者は死者1450人を含む6600人に上る。製造した会社は当初から人体への有害性を認識しながら隠蔽した疑いがあるという。

 趙さんの水俣訪問は、被害が長期間放置された水俣病の教訓を学ぶのが目的。支援団体関係者らとともに坂本さん親子の言葉に耳を傾けたという。

 フジエさんの死からわずか半月。しのぶさんは悲しみを抱えながら「水俣病は終わっていない」と訴えた。趙さんも「私たちの惨事を忘れないで」と応じ、世界に「ノーモア水俣」を訴えてきた坂本さん親子を「時代の英雄」とたたえた。

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