補選の低投票率 既成政党は猛省すべきだ 

西日本新聞 オピニオン面

 補欠選挙とはいえ、国政選挙である。ところが、5人に1人の有権者しか投票しなかった。深刻な低投票率は何を意味するのか。とりわけ、有権者に確かな選択肢を提示できなかった既成政党には猛省を促したい。

 参院埼玉補選が一昨日、投開票され、前埼玉県知事で無所属の上田清司氏が、NHKから国民を守る党の党首立花孝志氏を大差で破り、初当選した。

 投票率は20・81%だった。戦後の国政選挙(補選を含む)で最低だった1991年の参院埼玉補選(17・80%)こそ上回ったものの、歴代で4番目に低い投票率を記録してしまった。

 なぜ、8割もの有権者が棄権したのか。上田氏が与野党から支援を受けて事実上、異例の相乗り候補となったからだ。

 今回の補選は、8月の同県知事選に「上田県政の継承」を主張して初当選した大野元裕氏の参院議員辞職に伴うものだ。上田氏は「完全無所属」を掲げて立候補を表明した。立憲民主、国民民主両党が、党本部の推薦・支持でなく埼玉県連が支援する形をとったのはこのためだ。

 これに対し、自民党は独自候補の擁立を見送った。政権党としては極めて異例の対応だ。上田氏は衆院議員3期を経て4期16年も知事を務め、豊富な実績と知名度を誇る。知事選に続く参院補選での連敗は避けたいと判断したのだろう。仮に候補が当選できたとしても3年後の改選で自民、公明の現職と争う構図を避けたとも考えられる。

 自民党は上田氏が憲法改正論議に前向きであることを表向きの理由にしているが、苦しい言い訳としか聞こえない。

 一方、立花氏は7月の参院選比例代表で初当選したばかりだった。今回の補選出馬で失職したが、同党の議席は比例代表の名簿から繰り上げ当選したため現有を維持した。

 だが、獲得したばかりの議席を返上して同じ参院の補選に出馬する奇策が有権者の理解を得られるとは思えない。こうして「一騎打ち」と言えば聞こえがいいが、多くの有権者がそっぽを向く構図ができてしまった。

 第4次安倍晋三再改造内閣が発足して初の、そして消費税増税後初の国政選挙でもあった。臨時国会の最中であり、与野党が政策論争で有権者の審判を仰ぐ格好の機会だったはずだ。

 埼玉県で甚大な台風被害が発生した事情も低投票率の要因の一つとされるが、ならばこそ災害対策の本格論戦が必要だったのではないか。にもかかわらず目先の利害得失に目を奪われ「勝ち馬に乗る」ことを最優先するような既成政党のご都合主義にはあきれてしまう。政党政治が先細りしないか心配になる。

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