新顔野菜を伝統の味に 熊本・五木村の「ヤーコンの味〓漬」

西日本新聞 夕刊

 熊本県五木村の冨永キミ子さん(72)が作る「ヤーコンの味〓漬」は、地元物産館のロングセラー商品だ。

 中学卒業後、キミ子さんは集団就職で村を離れ、兵庫で電機メーカーに就職。都会暮らしは楽しかったが、故郷への思いは消えず、退職後は迷わずUターンを選んだ。

 2001年に帰郷すると、住み慣れた家や畑はすっかり草やぶに。家を整え、荒地を再び畑に戻した頃、役場から作ってみないかと提案されたのが、南米原産のキク科野菜のヤーコンだった。

 オリゴ糖や食物繊維が豊富で栄養価も高いが、食べ方が分からないとの声も根強い作物。「そのまま物産館に出してもなかなか売れなくて。ふと、みそ漬けにしたらおいしいんじゃないかと思って」

 野菜や豆腐のみそ漬けは、厳しい自然環境の中で暮らす村の伝統保存食だ。農薬を使わず育てたヤーコンを秋に収穫し、下漬けして3カ月、みそ床に本漬けしてさらに3カ月。新しい野菜が古くからの知恵と技を借り、べっ甲色の光に透ける、おいしい漬物へと生まれ変わる。

 口に運ぶと、意外なサクサク食感。甘さと塩辛さに、発酵食品ならではの深みが重なり、白ご飯がどんどん進む。

 標高600メートルの故郷で、季節の移ろいと山の恵みを感じながら、ニンニクやソバ作り、漬物や農産品加工にいそしむ日々。山の木々がうっすらと色づき始めるこの時季、キミ子さんのみそ漬け作りが始まる。 (フリー記者・寺嶋悠)

 ▼ヤーコンの味〓漬 100グラム入り170円(税込み)。道の駅「子守唄の里五木」物産館「山の幸」で販売。生のヤーコンも店頭に並ぶ。同物産館=0966(37)2301(午前8時半~午後5時半)。

 ※〓はすべて「口へん」に「曽」

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