「判断、もっと慎重に」取り調べの身体拘束NO、九州で拡大 弁護士会が運動展開、全国でも上位に

西日本新聞 押川 知美

 警察が容疑者取り調べのために身柄を拘束する「勾留」について、弁護士が裁判所に取り消しを求める「準抗告」の動きが九州で広がっている。かつてはほとんど認めなかったが、今年6~8月には、九州・沖縄の8県で準抗告250件のうち約4割(98件)で成果があった。取り組みを進める弁護士は「軽微な事件でも勾留されるケースがある。身体拘束はもっと慎重に判断すべきだ」と訴える。

 容疑者の勾留を巡っては長い間、捜査側の請求がほとんど認められる時代が続いてきた。日弁連の資料によると、少なくとも1990年から2007年までの間、全国平均の却下率は0%台だった。

 福岡県弁護士会北九州支部は17年9月、「本来必要のない容疑者まで身体拘束されている可能性がある」として、積極的に拘束の取り消しを求める「準抗告運動」を開始。昨夏以降、九州・沖縄各県の弁護士会に広がった。

 各弁護士会は今年6~8月に九州・沖縄の8地裁で計250件の準抗告を申し立て。このうち86件で地裁が申し立てを認め、12件は申し立て後に検察側が被疑者を釈放するなど、計98件で身体拘束が回避・軽減される成果が出た。このうち最多の40件を占める福岡地裁では、窃盗や県迷惑防止条例違反事件で容認するケースが目立ったという。

 容疑者の人権への関心の高まりなどを背景に、却下率は年々上昇している。最高裁のまとめでは、18年度の全国平均の勾留請求却下率は5・89%。最高は東京地裁の12・01%だったが、2位の熊本地裁(10・92%)など、上位7地裁に九州4県が入った。

 一般的には、勾留決定に関する個別の理由は明らかにされていない。だが、前日産自動車会長カルロス・ゴーン被告の逮捕や保釈を巡って国際的な批判が起きたことなどを背景に、裁判官の意識が変わってきているという指摘もある。福岡県弁護士会・刑事弁護等委員会の野田幸言弁護士は「準抗告が通った事例を積み重ねていくことで、(勾留却下の申し立てが)認められる件数も増えてきた。"身体拘束は慎重に”との意識が社会全体に広がれば」と語った。(押川知美)

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