ボウイさんからの贈り物 レプリカ含め40点、福岡市で初の個展 写真家事務所スタッフ功野さん

西日本新聞 ふくおか都市圏版 塚崎 謙太郎

 切り絵を趣味で始めて約30年。初の個展は、2016年に死去した英国の世界的ロック歌手デビッド・ボウイからの贈り物かもしれない。福岡市中央区六本松4丁目の六本松蔦屋書店で開かれている、功野(こうの)一美さん(54)=東京都=の切り絵展。作品40点の半数近くは、ボウイの熱狂的ファンの功野さんが切り絵で描いた彼の姿だ。

 功野さんは、ボウイを40年以上撮り続け、レコードジャケットや写真集を手掛けてきた直方市出身の写真家、鋤田(すきた)正義さん(81)=東京都=の事務所で、長くスタッフを務めている。

 1996年、日本武道館で行われたボウイのライブに足を運んだ功野さん。公演後、楽屋を鋤田さんと訪ねた。緊張しながら切り絵を取り出すと、ボウイは一枚一枚の作品を丁寧に見ながら「どうやって作るの?ハサミで?」と功野さんに質問を浴びせた。別れ際、「カズミはグレートアーティストだ。切り絵を続けなさい」と最上級の言葉をもらった。

 ボウイは16年、69歳で他界した。亡くなる数年前から、ステージ衣装や写真、小物などの私物を集めた大回顧展がロンドンや東京などを巡回していた。

 18年、最終開催地ニューヨークのブルックリン美術館には、ここだけの特別なコーナーがあった。ファンがボウイを描いた絵が並ぶ一角。彼はいつか絵をまとめて展示しようと、大切に保管していたのだった。

 「作者の名前がないので情報があれば連絡を」。ネット上に、自分がボウイに手渡した切り絵2枚の写真と美術館側のメッセージがあることを友人に知らされた功野さん。「大切に保管していてくれたことを知り、本当にうれしかった」

 功野さんは4年前、難病の重症筋無力症を発症。気持ちも沈みがちだったが、友人の協力も得て米国へ飛び、同美術館で切り絵と再会を果たした。

 今回の作品展は鋤田さんに背中を押されて実現した。美術館の展示作2点のレプリカや、新たに制作した山笠の男衆や博多の街並みなど福岡をテーマにした作品も並ぶ。

 「見える風景をきれいに忠実に再現するだけでなく、一歩先のイメージを表現することを鋤田さんに学びました。個展のきっかけをくれたのはボウイ、扉を開けてくれたのは鋤田さんです」

 切り絵展は11月7日まで。観覧無料。 (塚崎謙太郎)

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